司法試験 短答式 2024 憲法 第15問
司法権に関する次のアからウまでの各記述について、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に[No.29]から[No.31])
- ア 憲法第76条第1項にいう「司法権」には、民事事件及び刑事事件の裁判権だけでなく、行政庁の公権力の行使に対する不服の争訟などの行政事件の裁判権も含まれると解されている。このような考え方は、フランス、ドイツなどのヨーロッパ大陸諸国において採られてきた制度に由来する。
- イ 憲法第76条第2項前段は、「特別裁判所は、これを設置することができない。」と規定するところ、この「特別裁判所」とは、特別の事件について裁判するために、通常の裁判所の系列から独立して設けられる裁判機関をいう。裁判官弾劾裁判所は、上記の意味の特別裁判所であるが、憲法上の例外として、設置することが認められている。
- ウ 憲法第76条第2項後段は、「行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。」と規定するにとどまる。そのため、行政機関が裁判所の裁判の前審として行政処分についての審査請求に対する裁決をすることは許されるし、裁決をした行政機関が適法に認定した事実は裁判所を無条件に拘束するという法律の規定を設けても、違憲とはならない。
- 1 正しい
- 2 誤っている
正答 2,1,2(配点 3)
参考
正解はア=2(誤り)、イ=1、ウ=2(誤り)。ア:行政事件の裁判権も通常の司法裁判所に属するとする考え方は、行政事件も司法裁判所が扱う英米法型(司法国家)に由来する。行政裁判所を別個に設けるフランス・ドイツなどの大陸型(行政国家)はむしろこれと異なる。記述は由来を取り違えており誤り。イ:特別裁判所とは通常裁判所の系列から独立して特別の事件を裁判する機関をいい、裁判官弾劾裁判所(憲法64条)はその例外として憲法自身が認めたものである。正しい。ウ:行政機関が前審として裁決を行うことは許されるが、行政機関の認定した事実が裁判所を無条件に拘束するとすれば、終審裁判所たる裁判所の事実認定権を奪うことになり違憲である。記述は違憲とならないとする点が誤り。
自作の解説(憲法に基づく)
関連条文
出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第15問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html