司法試験 短答式 2024 憲法 第9問
労働基本権に関する次のアからウまでの各記述について、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に[No.17]から[No.19])
- ア 労働基本権は、国との関係において勤労者に認められる権利であることから、勤労者が正当な争議行為によって使用者に損害を与えた場合は、何らかの立法措置がない限り、勤労者にその損害賠償責任を免れさせることはできない。
- イ 最高裁判所の判例の趣旨に照らすと、憲法第28条は、勤労者に対し、その目的を問うことなく広く団体行動をする権利を保障するものであるから、私企業の勤労者が専ら自衛隊の海外派遣に反対する目的でストライキを行うことも、同条で保障される。
- ウ 最高裁判所の判例の趣旨に照らすと、勤労者が、自らが稼働する工場の施設を占拠し、使用者の指揮、命令を排除して、自ら生産活動等の業務を遂行することは、それが社会通念上、不当に長時間に及ぶものではないとしても、正当な争議行為には当たらず、違法である。
- 1 正しい
- 2 誤っている
正答 2,2,1(配点 3)
参考
正解はア=2(誤り)、イ=2(誤り)、ウ=1。ア:憲法28条の労働基本権は私人間にも効力が及び、正当な争議行為には立法措置の有無にかかわらず違法性が阻却されて民事上の損害賠償責任を負わない(労働組合法8条はこれを確認した規定にすぎない)。記述は誤り。イ:判例の趣旨によれば、労働条件の維持改善と無関係に専ら政治的目的で行ういわゆる政治ストは、憲法28条の保障を受けない。記述は目的を問わず保障されるとする点が誤り。ウ:山田鋼業事件(最大判昭和25年11月15日)は、使用者の指揮命令を排除して労働者が自ら生産活動を行ういわゆる生産管理を、正当な争議行為に当たらず違法であるとした。正しい。
自作の解説(憲法および最高裁判例に基づく)
関連条文
関連判例
- 山田鋼業事件(最大判昭和25年11月15日刑集4巻11号2257頁)
出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第9問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html