司法試験 短答式 2025 民法 第7問
物権的請求権に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.7])
- ア A所有の甲建物を、BがAに無断でCに対し賃貸し、引き渡したときは、Aは、Bに対し、甲建物の明渡しを求めることができる。
- イ A所有の甲土地に、BがAに無断で乙建物を築造し、これをCに対し賃貸し、引き渡したときは、Aは、Cに対し、乙建物を収去して甲土地を明け渡すよう求めることができる。
- ウ A所有の甲土地をBが不法に占有していることをAが知った時から5年を経過したときであっても、AのBに対する物権的返還請求権は、時効により消滅しない。
- エ A所有の甲土地に、BがAに無断で乙建物を築造し、所有権保存登記を備えた場合において、その後、Bが乙建物をCに譲渡したときは、Aは、乙建物についてBからCへの所有権移転登記がされていないときであっても、Bに対し、乙建物を収去して甲土地を明け渡すよう求めることができない。
- オ A所有の甲土地内にB所有の隣地からの土砂が崩壊する危険がある場合には、土砂の崩壊の危険についてBに故意又は過失がないときであっても、Aは、Bに対し、危険の防止に必要な相当の設備の設置を求めることができる。
- 1 ア ウ
- 2 ア オ
- 3 イ ウ
- 4 イ エ
- 5 エ オ
正答 4(配点 2)
参考
正解は4(誤りはイ・エ)。イ:土地所有者が建物収去土地明渡しを求める相手は建物所有者であり、建物賃借人Cは建物を収去し得る立場にないから、Cに「乙建物を収去して」明け渡すよう求めることはできない(Cには建物退去を求めうるにとどまる)。エ:建物を譲渡しても自ら登記名義を保有する者は、土地所有者に対し建物収去義務を免れない(最判平成6年2月8日)から、BからCへの移転登記がない以上、AはなおBに収去明渡しを求めることができる。ア・ウ・オは正しい。
自作の解説(物権的請求権に関する規定および参照判例に基づく)
関連条文
関連判例
- 建物譲渡と登記名義保有者の収去義務(最判平成6年2月8日民集48巻2号373頁)
出典 法務省 令和7年司法試験 短答式試験 問題集[民法]第7問/民法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00267.html