司法試験 短答式 2025 刑法 第18問

遺棄の罪に関する1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものを2個選びなさい。(解答欄は、[No.28]、[No.29]順不同)
  1. 1 遺棄罪(刑法第217条)の成立には、「老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者」の生命・身体に対する具体的な危険の発生を必要とする。
  2. 2 高度の酩酊により身体の自由を失った泥酔者は、他人の扶助を要する状態にあったと認められるときは、保護責任者遺棄等罪(刑法第218条)にいう「病者」に当たる。
  3. 3 保護責任者遺棄等罪(刑法第218条)における「遺棄」には、単なる置き去りは含まれない。
  4. 4 保護責任者遺棄等罪(刑法第218条)は、「その生存に必要な保護」として、幼年者の親ならば当然に行っているような監護、育児、介護行為等、保護行為一般を行うことを刑法上の義務として求めている。
  5. 5 保護責任者遺棄等致死罪(刑法第219条、第218条)は結果的加重犯であり、死亡結果について故意がある場合は含まれない。

正答 2,5(配点 3)

参考

正解は2・5(正しい)。2:高度の酩酊により身体の自由を失った泥酔者は、他人の扶助を要する状態にあれば刑法218条の「病者」に当たる(判例)。5:保護責任者遺棄等致死罪は結果的加重犯であり、死亡結果について故意がある場合は殺人罪となるからこれに含まれない。1:遺棄罪(217条)は抽象的危険犯であり、具体的危険の発生を要しないから誤り。3:保護責任者遺棄等罪の「遺棄」には不作為である単なる置き去りも含まれるから誤り。4:218条の「生存に必要な保護」は生存に必要な限度のものであり、保護行為一般を求めるものではない(最判平成17年7月4日)から誤り。

自作の解説(遺棄の罪に関する規定および判例に基づく)

関連条文

出典 法務省 令和7年司法試験 短答式試験 問題集[刑法]第18問/刑法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00267.html