司法試験 短答式 2025 刑法 第19問
次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、誤っているものを2個選びなさい。(解答欄は、[No.30]、[No.31]順不同)
- 1 甲は、乙から絵画を購入して自宅に保管していたところ、その後に同絵画は乙が窃取したものであることを知ったが、そのまま同絵画の保管を継続した。この場合、甲に盗品等保管罪が成立する。
- 2 甲は、乙から腕時計を預かり自宅に保管していたところ、その後に同腕時計は乙が窃取したものであることを知ったが、そのまま乙のために同腕時計の保管を継続した。この場合、甲に盗品等保管罪が成立する。
- 3 甲は、乙が窃取した宝石であることを知りつつ、乙から同宝石を有償で譲り受けたが、その時点で乙の同窃取行為について公訴時効が完成していた。この場合、甲に盗品等有償譲受け罪が成立する。
- 4 甲は、乙が窃取した自動車であることを知りつつ、乙との間で同車の売買契約を締結し、その代金を乙に支払ったが、乙が甲に同車の引渡しをしなかった。この場合、甲に盗品等有償譲受け罪が成立する。
- 5 甲は、甲と親族関係にない乙から、甲の実父Aが所有し、管理している自動車を乙が窃取したので同車を運搬してほしい旨依頼され、同車が盗品であると知りつつ、乙が指定した場所まで同車を運搬した。この場合、甲に盗品等運搬罪が成立し、その刑は免除されない。
正答 1,4(配点 3)
参考
正解は1・4(誤り)。1:盗品であることを知らずに購入して自己の物として保管していた者が、後に盗品と知ってそのまま保管を継続しても、本犯のために保管するものとはいえず盗品等保管罪は成立しないから誤り。これに対し、寄託を受けて保管中に盗品と知り、なお本犯のために保管を継続した場合(記述2)は盗品等保管罪が成立する(最決昭和50年6月12日)。4:盗品等有償譲受け罪は現実に盗品の引渡しを受けて取得することにより既遂となるところ、売買契約を締結し代金を支払っても引渡しを受けていなければ成立しないから誤り。2・3・5は正しい(5は、盗品等罪を犯した甲と本犯乙との間に親族関係がなく、親族間の特例(257条)の適用がないため刑は免除されない)。
自作の解説(盗品等に関する罪の判例に基づく)
関連条文
関連判例
- 知情後の保管継続(最決昭和50年6月12日刑集29巻6号365頁)
出典 法務省 令和7年司法試験 短答式試験 問題集[刑法]第19問/刑法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00267.html