熱機関の最大効率(カルノー効率)

熱機関の効率の上限を 1 − 低温側の絶対温度 ÷ 高温側の絶対温度 で求めます。どんなに工夫してもこれを超えられません。温度は必ず絶対温度で計算します。

熱を仕事に変える機械(熱機関)の効率には、越えられない上限 があります。材料や設計の問題ではなく、熱力学第二法則が決めている限界です。

ηmax=1TcTh\eta_{\max} = 1 - \dfrac{T_c}{T_h}

ThT_h は高温側、TcT_c は低温側の 絶対温度(K) です。

500℃ の蒸気で動かし、30℃ の冷却水へ熱を捨てる熱機関を考えます。

Th=773.15 KTc=303.15 KT_h = 773.15\ \text{K} \qquad T_c = 303.15\ \text{K}
ηmax=1303.15773.15=0.608=60.8 %\eta_{\max} = 1 - \dfrac{303.15}{773.15} = 0.608 = 60.8\ \%

どんなに理想的に作っても、投入した熱の 39% は捨てるしかありません。実際の火力発電所の効率は 40〜45% ほどで、この上限にはまだ距離があります。

摂氏で計算すると大惨事

いちばん多い間違いが、摂氏をそのまま入れることです。

130500=0.94(誤り)1 - \dfrac{30}{500} = 0.94 \quad \text{(誤り)}

94% という、まったくありえない効率が出てしまいます。必ず絶対温度に直してください。 273.15 を足すだけです。

効率を上げるには

式を見れば、やるべきことは 2 つです。

低温側は環境(外気や海水)で決まってしまうので、実際には 高温側を上げるしかありません。発電所が耐熱材料の開発にしのぎを削り、コンバインドサイクル(ガスタービンの高温排熱で蒸気タービンも回す)が生まれたのは、この式が理由です。

注意

これは 理想の上限 であって、実際の効率ではありません。摩擦も熱の漏れもない、無限にゆっくり動く仮想的な機関(カルノーサイクル)の値です。現実の機関はこれより必ず低くなります。