司法試験 短答式 2022 憲法 第2問
私人間における人権保障に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[No.2])
- ア 最高裁判所は、株式会社による政党への政治資金の寄附が、国民の選挙権の自由な行使を直接に侵害するものであるとしつつ、会社にも政治活動の自由が保障されるため、当該侵害は社会的許容性の限度を超えるものではないと判断されることから、当該寄附が公序良俗に違反すると解することはできないとした。
- イ 最高裁判所は、株式会社の就業規則において女子の定年年齢を男子より低く定める部分が、専ら女子であることのみを理由として差別したことに帰着するものとして、公序良俗に違反し無効であると解するに当たって、個人の尊厳と両性の本質的平等を解釈の基準として定める民法の規定とともに、法の下の平等を定める憲法第14条第1項を参照した。
- ウ 最高裁判所は、下級裁判所が、一定の集団に属する者の全体に対して人種差別的な発言をした者に対し、人種差別撤廃条約並びに同条約に照らして解釈される憲法第13条及び第14条第1項は私人相互の関係にも直接適用されるとして、民法第709条の規定により高額の損害賠償を命じた事例において、上告を棄却した。
- 1 ア○ イ○ ウ○
- 2 ア○ イ○ ウ×
- 3 ア○ イ× ウ○
- 4 ア○ イ× ウ×
- 5 ア× イ○ ウ○
- 6 ア× イ○ ウ×
- 7 ア× イ× ウ○
- 8 ア× イ× ウ×
正答 6(配点 2)
参考
正解は6(ア×、イ○、ウ×)。ア:八幡製鉄政治献金事件は、会社にも政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由が認められ、その寄附が国民の参政権を侵害するものではないとした。記述は「国民の選挙権の自由な行使を直接に侵害するものであるとしつつ」とする点で判例と逆であり、判例は直接の侵害を否定している。イ:日産自動車事件は、女子の定年年齢を男子より低く定める就業規則の部分を、専ら女子であることのみを理由とする差別として民法90条により無効としたが、その判断に当たり憲法14条1項と、個人の尊厳と両性の本質的平等を解釈の基準として定める民法の規定を参照している。ウ:憲法の人権規定は私人相互の関係に直接適用されないというのが判例(三菱樹脂事件)であり、下級裁判所が条約や憲法13条・14条1項の私人間への直接適用を認め、これを最高裁が是認したという事実はない。人種差別的な言動に対する損害賠償は、条約の趣旨を民法709条の解釈に反映させて認められている。
自作の解説(憲法第13条・第14条、民法第90条・第709条および最高裁判例に基づく)
関連条文
関連判例
- 八幡製鉄政治献金事件(最大判昭和45年6月24日民集24巻6号625頁)
- 三菱樹脂事件(最大判昭和48年12月12日民集27巻11号1536頁)
- 日産自動車事件(最判昭和56年3月24日民集35巻2号300頁)
出典 法務省 令和4年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第2問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00104.html