司法試験 短答式 2023 民法 第30問
不法行為に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.30])
- ア 不法行為の被害者は、不法行為に起因する後遺障害による逸失利益について、定期金による賠償を求めることができない。
- イ 被用者が使用者の事業の執行について重大な過失により失火して第三者に損害を加えた場合には、使用者は、被用者の選任監督について重大な過失があるときに限り、損害賠償の責任を負う。
- ウ 被用者が、使用者の事業の執行について第三者に損害を加えた場合において、その損害を賠償したときは、被用者は、使用者に対して求償権を行使することができない。
- エ 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じた場合において、その工作物の占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、その工作物の所有者が損害賠償の責任を負う。
- オ 損害賠償の額を定めるに当たり、被害を受けた未成年者の過失を考慮するためには、その未成年者に事理を弁識するに足りる知能が備わっていれば足りる。
- 1 ア ウ
- 2 ア エ
- 3 イ ウ
- 4 イ オ
- 5 エ オ
正答 5(配点 2)
参考
正解は5(正しいのはエ・オ)。エ:土地の工作物の設置又は保存の瑕疵による損害について、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者が損害賠償の責任を負う(民法717条1項ただし書)。オ:判例(最大判昭和39年6月24日)は、被害者の過失を過失相殺で考慮するには事理を弁識するに足りる知能が備わっていれば足り、責任能力までは要しないとした。アは後遺障害の逸失利益につき定期金賠償を認める判例(最判令和2年7月9日)に反し誤り、イは被用者に重過失があれば使用者は責任を負う(最判昭和42年6月30日)から誤り、ウは被用者から使用者への逆求償を認める判例(最判令和2年2月28日)に反し誤り。
自作の解説(民法第715条・第717条・第722条および判例に基づく)
関連条文
関連判例
- 過失相殺と事理弁識能力(最大判昭和39年6月24日民集18巻5号854頁)
- 被用者から使用者への逆求償(最判令和2年2月28日民集74巻2号106頁)
出典 法務省 令和5年司法試験 短答式試験 問題集[民法]第30問/民法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00198.html