司法試験 短答式 2023 憲法 第1問
憲法第13条に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[No.1])
- ア 最高裁判所は、本人の意思に反し、かつ令状なしでなされた警察官による写真撮影行為の違法性が争われた事件において、憲法第13条は、国民の私生活上の自由が警察権等の国家権力の行使に対しても保護されるべきことを規定したものであるとした。
- イ 最高裁判所は、自己消費を目的とする酒類製造を処罰することの合理性が争われた事件において、自己消費目的の酒類製造の自由は人格的生存に不可欠であるとまでは断じ難く、制約しても憲法第13条に違反するものでないとした。
- ウ 最高裁判所は、市営地下鉄内における商業宣伝放送の違法性が争われた事件において、聞きたくない音を聞かない自由は、人格的利益に含まれると解することもできないものではないが、精神的自由の一つに含まれるため、憲法第13条によって保障されるとの主張は適当でないとした。
- 1 ア○ イ○ ウ○
- 2 ア○ イ○ ウ×
- 3 ア○ イ× ウ○
- 4 ア○ イ× ウ×
- 5 ア× イ○ ウ○
- 6 ア× イ○ ウ×
- 7 ア× イ× ウ○
- 8 ア× イ× ウ×
正答 4(配点 2)
参考
正解は4(ア○イ×ウ×)。ア:本人の意思に反し令状なく行われた警察官の写真撮影が争われた京都府学連事件(最大判昭和44年12月24日刑集23巻12号1625頁)は、憲法13条が国民の私生活上の自由を警察権等の国家権力の行使に対しても保護すべきことを規定したものとしており、記述は判例に合致する(○)。イ:自己消費目的の酒類製造の規制が争われたどぶろく事件(最判平成元年12月14日刑集43巻13号841頁)は、酒税の適正かつ確実な賦課徴収という財政目的から酒類製造の免許制を合憲としたのであって、その自由が人格的生存に不可欠かどうかという観点で判断したものではない。記述の理由付けは判例と異なり誤り(×)。ウ:市営地下鉄の車内商業放送が争われたとらわれの聴衆事件(最判昭和63年12月20日判時1302号94頁)で、聞きたくない音を聞かない自由が人格的利益として尊重されうるとしても、他者との社会関係の中で当然に一定の制約を受けるものであり、これが憲法13条により保障されると断ずるのは相当でない。「精神的自由の一つに含まれるため保障されるとの主張は適当でない」とする記述は判例の趣旨と整合せず誤り(×)。
自作の解説(憲法第13条および最高裁判例に基づく)
関連条文
関連判例
- 京都府学連事件(最大判昭和44年12月24日刑集23巻12号1625頁)
- どぶろく事件(最判平成元年12月14日刑集43巻13号841頁)
- とらわれの聴衆事件(最判昭和63年12月20日判時1302号94頁)
出典 法務省 令和5年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第1問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00198.html