司法試験 短答式 2023 憲法 第11問
主権に関する次のアからウまでの各記述について、bの見解がaの見解の根拠となっている場合には1を、そうでない場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に[No.21]から[No.23])
- ア
a 憲法は国会を国権の最高機関としているが、ここでの国権とは統治権を意味しており、国会は立法機関であるだけでなく、この意味での国権の発動全般を統括すべき地位にある。
b 憲法が定める権力分立制の下では、立法権の行使などを通じ国会が中心的な役割を果たす一方、内閣には衆議院の解散を決定する権限が、また裁判所には法律の憲法適合性を判断する権限が認められるなど、相互の抑制・均衡が図られている。
- イ
a 統治権のうち行政に関する部分は、憲法上国と地方とに配分され、内閣が行使する行政権と、地方公共団体が行政を執行する権能から構成される。
b 近代主権国家では、統治権という意味での主権は不可分一体であり、地方公共団体の権能もかかる国家の統治権から伝来するものであって、国家の法律による承認ないし委任に依拠し、またその限度で認められる。
- ウ
a 最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査権は、主権者の権能の一内容である点において選挙権と同様の性質を有する。
b 憲法は、主権が国民に存すると規定するとともに、最高裁判所に国家行為の憲法適合性を判断する権限を有する終審裁判所という重要な地位・権限を付与している。
- 1 bはaの根拠になっている
- 2 bはaの根拠になっていない
正答 2,2,1(配点 3)
参考
正解はア=2、イ=2、ウ=1。bがaの見解の根拠になっているかを問う。ア:aは憲法41条の「国権の最高機関」を統治権の発動全般を統括する地位と読む統括機関説。bは権力分立の下で国会が中心的役割を果たしつつ内閣・裁判所にも権限があり相互の抑制・均衡が図られると述べるもので、aの統括機関説を否定する方向の内容であって根拠にはなっていない(2)。イ:aは行政の統治権が国と地方に配分され地方公共団体が行政を執行する権能から成るとする立場。bは主権は不可分一体で地方の権能は国家統治権から伝来し法律の承認・委任に依拠するとする伝来説であり、aと対立するから根拠にはなっていない(2)。ウ:aは最高裁裁判官の国民審査権を主権者の権能の一内容とみて選挙権と同様の性質を有するとする立場。bは憲法が主権は国民に存すると規定していることを挙げるもので、aの根拠になっている(1)。
自作の解説(憲法第41条・第79条および学説に基づく)
関連条文
出典 法務省 令和5年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第11問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00198.html