司法試験 短答式 2023 憲法 第16問

司法権の範囲ないし限界に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[No.32])
  1. 裁判所がその固有の権限に基づいて審判することのできる対象は、裁判所法第3条にいう「法律上の争訟」、すなわち当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる。したがって、具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であっても、法令の適用による終局的解決に適しないものは裁判所の司法審査の対象になり得ない。
  2. 特定の者の宗教活動上の地位の存否を審理、判断するにつき、宗教団体の教義ないし信仰の内容に立ち入って審理、判断することが必要不可欠である場合には、裁判所は、その者が宗教活動上の地位にあるか否かを審理、判断することができず、その結果、宗教活動上の地位に基づく宗教法人の代表役員の地位の存否についても審理、判断することができない。この場合には、宗教法人の代表役員の地位の存否の確認を求める訴えは、裁判所法第3条にいう「法律上の争訟」に当たらない。
  3. 大学の単位の授与(認定)という行為は、学生が履修した授業科目について合格したことを確認する教育上の措置であり、卒業の要件をなすものであるから、一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることは明らかである。それゆえ、純然たる大学内部の問題とはいえず、大学の自主的、自律的な判断のみに委ねられるべきものではなく、裁判所の司法審査の対象となる。
  1. 1 ア○ イ○ ウ○
  2. 2 ア○ イ○ ウ×
  3. 3 ア○ イ× ウ○
  4. 4 ア○ イ× ウ×
  5. 5 ア× イ○ ウ○
  6. 6 ア× イ○ ウ×
  7. 7 ア× イ× ウ○
  8. 8 ア× イ× ウ×

正答 2(配点 2)

参考

正解は2(ア○イ○ウ×)。ア:裁判所が審判できる「法律上の争訟」(裁判所法3条)とは、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって法令の適用により終局的に解決できるものをいい(「板まんだら」事件・最判昭和56年4月7日民集35巻3号443頁等)、これに当たらないものは司法審査の対象になり得ない。記述は判例に合致する(○)。イ:宗教上の地位の存否の判断に教義・信仰の内容への立ち入りが必要不可欠な場合には、裁判所はこれを審理判断できず、これに基づく代表役員の地位存否確認の訴えは「法律上の争訟」に当たらない(蓮華寺事件・最判平成元年9月8日民集43巻8号889頁等)。記述は判例に合致する(○)。ウ:富山大学単位不認定事件(最判昭和52年3月15日民集31巻2号234頁)は、単位授与(認定)行為は特段の事情のない限り純然たる大学内部の問題として大学の自律的判断に委ねられ司法審査の対象とならないとした。司法審査の対象となるとする記述は判例に反し誤り(×)。

自作の解説(憲法第76条、裁判所法第3条および最高裁判例に基づく)

関連条文

関連判例

出典 法務省 令和5年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第16問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00198.html