司法試験 短答式 2023 憲法 第18問
財政に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に[No.34]から[No.36])
- ア 市町村が行う国民健康保険における保険料は、憲法第84条に規定する租税には当たらないが、国民健康保険は強制加入とされ、保険料が強制徴収されるものであり、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するため、憲法第84条の趣旨が及ぶ。
- イ 暦年途中の租税法規の変更及びその暦年当初からの適用によって納税者の租税法規上の地位が変更され、課税関係における法的安定に影響が及び得る場合の憲法第84条適合性については、変更の対象となる納税者の租税法規上の地位の性質、変更の程度及び変更により保護される公益の性質などの諸事情を総合的に勘案して判断すべきである。
- ウ 長く課税されることがなかったパチンコ球遊器について、行政の内部命令である通達によって課税の物件たる遊戯具に該当するとして課税の対象とされたことは、通達の内容が法の正しい解釈に合致するものであっても、憲法第84条に違反する。
- 1 正しい
- 2 誤っている
正答 1,1,2(配点 3)
参考
正解はア=1、イ=1、ウ=2。ア:旭川市国民健康保険条例事件(最大判平成18年3月1日民集60巻2号587頁)は、市町村の国民健康保険の保険料は憲法84条にいう租税には当たらないが、賦課徴収の強制の度合い等において租税に類似する性質を有するから同条の趣旨が及ぶとした。記述は判例に合致する(正しい)。イ:租税法規の暦年途中の変更と暦年当初からの適用の憲法84条適合性が争われた判例(最判平成23年9月22日民集65巻6号2756頁)は、納税者の地位の性質、変更の程度、保護される公益の性質等の諸事情を総合的に勘案して判断すべきとした。記述は判例に合致する(正しい)。ウ:パチンコ球遊器事件(最判昭和33年3月28日民集12巻4号624頁)は、通達を機縁とする課税であっても、通達の内容が法の正しい解釈に合致するものであれば課税は法律に基づくものであり憲法84条に違反しないとした。違反するとする記述は判例に反し誤り(誤っている)。
自作の解説(憲法第84条および最高裁判例に基づく)
関連条文
関連判例
- 旭川市国民健康保険条例事件(最大判平成18年3月1日民集60巻2号587頁)
- 租税法規不遡及事件(最判平成23年9月22日民集65巻6号2756頁)
- パチンコ球遊器事件(最判昭和33年3月28日民集12巻4号624頁)
出典 法務省 令和5年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第18問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00198.html