司法試験 短答式 2023 憲法 第20問

条約に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[No.40])
  1. 憲法と条約の関係につき、憲法優位説の立場からは、日本国が締結した条約を誠実に遵守することを必要とする旨規定する憲法第98条第2項について、有効に成立した条約の国内法的効力を認め、その遵守を強調したものであると考えることになる。
  2. 砂川事件判決(最高裁判所昭和34年12月16日大法廷判決、刑集13巻13号3225頁)は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(いわゆる旧日米安全保障条約)につき、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは裁判所の司法審査権の範囲外であるとしたが、同条約が高度の政治性を有することを理由としており、条約であることを理由にはしていないことを踏まえると、条約について違憲審査の対象となり得るとの見解を採ったものと理解することができる。
  3. 条約の締結には国会の承認が必要であるが、衆議院が承認の議決をし、参議院でこれと異なった議決をした場合には、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び承認の議決をしたときは、衆議院の議決が国会の議決となる。
  1. 1 ア○ イ○ ウ○
  2. 2 ア○ イ○ ウ×
  3. 3 ア○ イ× ウ○
  4. 4 ア○ イ× ウ×
  5. 5 ア× イ○ ウ○
  6. 6 ア× イ○ ウ×
  7. 7 ア× イ× ウ○
  8. 8 ア× イ× ウ×

正答 2(配点 2)

参考

正解は2(ア○イ○ウ×)。ア:憲法優位説の立場からは、条約の誠実遵守を定める憲法98条2項は、有効に成立した条約の国内法的効力を認めその遵守を強調したものと解され、条約が憲法に優位する根拠とはならないと考える。記述はこの立場の理解として正しい(○)。イ:砂川事件(最大判昭和34年12月16日刑集13巻13号3225頁)は、旧日米安全保障条約について、一見極めて明白に違憲無効と認められない限り司法審査の範囲外としたが、これは同条約が高度の政治性を有することによるもので、条約であること自体を理由とするものではないから、条約も違憲審査の対象となり得るとの見解を採ったものと理解できる。記述は正しい(○)。ウ:条約の締結に対する国会の承認については衆議院の議決の優越が認められるが(憲法61条・60条2項)、その要件は法律案のような出席議員の3分の2以上による再可決ではない。再可決により衆議院の議決が国会の議決となるとする記述は誤り(×)。

自作の解説(憲法第98条・第61条および最高裁判例に基づく)

関連条文

関連判例

出典 法務省 令和5年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第20問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00198.html