司法試験 短答式 2023 憲法 第3問

表現の自由に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に[No.5]から[No.7])
  1. 情報摂取のためになされる筆記行為の自由は、憲法第21条第1項の精神に照らして尊重されるべきであって、傍聴人が法廷でメモを取る自由は、そこで見聞する裁判を認識、記憶するためになされる限り、尊重に値し、故なく妨げられてはならないから、その制限又は禁止に対する審査に当たっては、表現の自由に制約を加える場合に一般的に必要とされる厳格な基準が要求される。
  2. 公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等の表現行為に関する事前差止めは、原則として許されず、例外的に、その表現内容が真実でなく、又はそれが専ら公益を図る目的のものではないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがあるときにのみ許されるが、その場合には迅速を旨とする仮処分手続による以上、原則として、口頭弁論や債務者審尋を経る必要はない。
  3. 少年法第61条が禁止する推知報道に当たるか否かは、少年と面識のある特定多数の者あるいは少年が生活基盤としてきた地域社会の不特定多数の者ではなく、不特定多数の一般人が、当該事件報道記事等により、少年を当該事件の本人であると推知することができるかを基準にして判断すべきである。
  1. 1 正しい
  2. 2 誤っている

正答 2,2,1(配点 3)

参考

正解はア=2、イ=2、ウ=1。ア:レペタ訴訟(最大判平成元年3月8日民集43巻2号89頁)は、傍聴人が法廷でメモを取る自由は憲法21条1項の精神に照らして尊重に値し故なく妨げられてはならないとしつつ、その制限・禁止に表現の自由の制約に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではないとした。厳格な基準が要求されるとする記述は判例と異なり誤り(誤っている)。イ:北方ジャーナル事件(最大判昭和61年6月11日民集40巻4号872頁)は、公務員・公職選挙の候補者に対する評価批判等の表現行為の事前差止めを原則禁止としつつ例外を認めたが、その場合でも原則として口頭弁論又は債務者の審尋を経て表現内容の真実性等につき主張立証の機会を与えることを要するとした。これを不要とする記述は判例に反し誤り(誤っている)。ウ:長良川事件推知報道訴訟(最判平成15年3月14日民集57巻3号229頁)は、少年法61条の推知報道に当たるか否かを、不特定多数の一般人が当該事件報道等により少年が本人であると推知できるかを基準に判断すべきとしており、記述は判例に合致する(正しい)。

自作の解説(憲法第21条および最高裁判例に基づく)

関連条文

関連判例

出典 法務省 令和5年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第3問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00198.html