司法試験 短答式 2023 刑法 第17問
刑法第230条の2に関する次の各【見解】についての後記1から5までの各【記述】のうち、正しいものはどれか。(解答欄は、[No.28])【見解】A説:刑法第230条の2の規定は、名誉毀損罪について真実性の証明がなされたことを処罰阻却事由として定めたものである。B説:刑法第230条の2の規定は、他人の名誉を毀損する表現の内容が証明可能な程度に真実であることを違法性阻却事由として定めたものである。
- 1 A説に対しては、刑法第230条の2が真実性の証明に係る立証責任を被告人に負担させていることと整合的でないとの批判がある。
- 2 A説によれば、真実性の証明に失敗した場合、刑法第35条によって違法性が阻却される余地はない。
- 3 A説は、いい加減な調査に基づいたものであれば、結果的に真実であることが証明された場合でも、その表現を違法とすべきであるとの考え方と整合的である。
- 4 B説は、真実性の証明の成功・不成功は、名誉毀損行為が行われた後の事情であって、犯罪の成否とは無関係であることを根拠としている。
- 5 B説からは、他人の名誉を毀損する表現をした者が、その表現内容を真実と誤信した場合には、常に故意がないことになる。
正答 3(配点 2)
参考
正解は3。刑法230条の2の法的性質に関するA説(処罰阻却事由説)とB説(違法性阻却事由説)を対比する。3:A説は真実性が証明されても違法性自体は阻却されず処罰だけが阻却されると解するから、いい加減な調査に基づく限り結果的に真実であってもその表現を違法とすべきとの考え方と整合的であり、正しい。1は処罰阻却事由説はむしろ被告人に立証責任を負わせることと整合的だから誤り、2はA説でも刑法35条による違法性阻却の余地は排除されないから誤り、4は真実性の証明が名誉毀損行為後の事情で犯罪の成否と無関係とみるのはA説の根拠でありB説の根拠ではないから誤り、5はB説でも真実と誤信すれば常に故意がなくなるわけではないから誤り。
自作の解説(刑法第35条・第230条の2および判例に基づく)
関連条文
出典 法務省 令和5年司法試験 短答式試験 問題集[刑法]第17問/刑法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00198.html