司法試験 短答式 2023 刑法 第5問
次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.10])
- ア 甲は、Aが居住するA所有の家屋に放火し、同家屋を全焼させた上、同家屋に隣接するBが居住するB所有の家屋にも火を燃え移らせて同家屋を全焼させた。この場合、甲には2個の現住建造物等放火罪が成立し、これらは観念的競合となる。
- イ 甲は、行使の目的で1万円札を偽造し、Aが経営する商店において、事情を知らないAに対し、1万円の商品の購入を申し込み、その代金として偽造の1万円札をAに手渡して同商品の交付を受けた。この場合、甲には通貨偽造罪、偽造通貨行使罪及び詐欺罪が成立し、これらは牽連犯となる。
- ウ 暴力団員甲及び乙は、対立する暴力団員A及びBを襲撃して殺害することを共謀し、路上を連れ立って歩いていたA及びBを待ち構えた上で、甲がAを、乙がBを、それぞれ殺害した。この場合、甲及び乙を共同正犯とする2個の殺人罪が成立し、これらは併合罪となる。
- エ 甲は、酒に酔った状態で、自動車を無免許で運転した。この場合、甲には酒酔い運転の罪と無免許運転の罪が成立し、これらは観念的競合となる。
- オ 甲は、恐喝目的でAを監禁し、監禁のための暴行等により畏怖しているAを更に脅迫して現金を喝取した。この場合、監禁罪と恐喝罪が成立し、これらは牽連犯となる。
- 1 ア イ
- 2 ア ウ
- 3 イ オ
- 4 ウ エ
- 5 エ オ
正答 4(配点 2)
参考
正解は4(正しいのはウ・エ)。ウ:甲・乙が共謀の上それぞれA・Bを殺害した場合、共同正犯として2個の殺人罪が成立し併合罪となるから正しい。エ:酒酔い運転罪と無免許運転罪は1個の運転行為によるものであり観念的競合となるから正しい。アは1個の放火行為による数個の建造物の焼損は包括して1個の現住建造物等放火罪となるから誤り、イは偽造通貨行使罪が成立する場合の詐欺はこれに吸収され別に詐欺罪を構成しないから誤り、オは監禁罪と恐喝罪は牽連犯ではなく併合罪となるから誤り。
自作の解説(刑法第54条・第108条・第246条および判例に基づく)
関連条文
出典 法務省 令和5年司法試験 短答式試験 問題集[刑法]第5問/刑法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00198.html