司法試験 短答式 2024 民法 第18問

債務不履行による損害賠償に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
  1. 安全配慮義務違反を理由とする債務不履行による損害賠償債務は、債務者が債権者から履行の請求を受けた時から履行遅滞に陥る。
  2. 絵画甲の売主がその債務について遅滞の責任を負っている間に、売主及び買主の責めに帰することができない事由により甲が滅失したときは、買主は、売主に対し、その債務の履行に代わる損害賠償を請求することができる。
  3. 債務者が、その債務の履行が不能となったのと同一の原因により債務の目的物の代償である利益を取得したときは、債権者は、その受けた損害の額の限度において、債務者に対し、その利益の償還を請求することができる。
  4. 乙土地の売買において、売主がその所有権移転義務を履行不能とした場合には、売主が履行不能時に乙土地が騰貴しつつあることを知っていたとしても、買主が転売目的を有していなければ、買主は、売主に対し、乙土地の騰貴した現在の価格を基準としてその債務の履行に代わる賠償請求をすることができない。
  5. 契約の一方当事者Aが、契約締結に先立ち、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を他方当事者Bに提供しなかったときは、Aは、Bに対し、Bが当該契約を締結したことにより受けた損害につき当該契約上の債務不履行による賠償責任を負う。
  1. 1 ア イ
  2. 2 ア ウ
  3. 3 イ エ
  4. 4 ウ オ
  5. 5 エ オ

正答 5(配点 2)

参考

正解は5(誤りはエ・オ)。エ:目的物の価格が騰貴しつつあることを債務者が予見し得た場合には、買主に転売目的がなくても騰貴した価格を基準とする履行に代わる損害賠償を請求することができるから(判例)、転売目的がなければ請求できないとするのは誤り。オ:契約締結に先立つ信義則上の説明義務の違反は不法行為責任を生じさせるにとどまり、当該契約上の債務不履行による賠償責任を負うものではないから(最判平成23年4月22日)、債務不履行責任を負うとするのは誤り。アは安全配慮義務違反による賠償債務の遅滞の時期、イは履行遅滞中の当事者双方の責めに帰することができない履行不能(民法413条の2)、ウは代償請求権(民法422条の2)で、いずれも正しい。

自作の解説(民法の債務不履行による損害賠償に関する規定と判例に基づく)

関連条文

関連判例

出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[民法]第18問/民法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html