司法試験 短答式 2024 民法 第19問
AがBとの売買契約に基づきBに対して1000万円の代金債権を有している。この場合における詐害行為取消権に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
- ア BがCに対する500万円の貸金債務を弁済した。この場合において、AがCを被告として、弁済の取消しとAへの500万円の支払を求める訴えを提起し、この請求が認容されたときは、CのBに対する債権は、判決が確定した時に、原状に復する。
- イ BがDに対する500万円の貸金債務を弁済した。この場合において、AがDを被告として、弁済の取消しとAへの500万円の支払を求める訴えを提起し、この請求が認容されたときは、Aへの500万円の支払を内容とするDの債務は、判決が確定した時から、履行遅滞に陥る。
- ウ BがEにB所有の動産甲を贈与し、EがFに甲を贈与し、それぞれ引渡しがされた。この場合において、AがFを被告として、BE間の贈与の取消しとAへの甲の返還を求める訴えを提起し、この請求が認容されたときは、確定判決の効力は、Eに及ぶ。
- エ BがGにB所有の動産乙を贈与し、GがHに乙を贈与し、HがIに乙を贈与し、それぞれ引渡しがされた。この場合において、BG間の贈与の取消しとAへの乙の返還を内容とするAのIに対する請求が認められるためには、BG間の贈与が債権者を害することについて、G、H及びIの全員がそれぞれ贈与を受けた時に悪意でなければならない。
- オ BがJにB所有の丙土地を代金200万円で売却し、JがKに丙土地を代金220万円で売却し、それぞれ所有権移転登記がされた。この場合において、AがKを被告として、BJ間の売買の取消しとKからBへの所有権移転登記手続を求める訴えを提起し、この請求が認容され、KからBへの所有権移転登記がされたときは、Kは、Bに対し、200万円の限度で支払を求めることができる。
- 1 ア ウ
- 2 ア エ
- 3 イ ウ
- 4 イ オ
- 5 エ オ
正答 5(配点 3)
参考
正解は5(正しいものはエ・オ)。エ:転得者に対する詐害行為取消請求が認められるためには、その転得者及びその前の全ての転得者が、それぞれの取得の時に債務者の行為が債権者を害することを知っていたことが必要であるから(民法424条の5)正しい。オ:受益者又は転得者は詐害行為が取り消された場合に反対給付の価額の償還を請求することができるから(民法425条の4)、Kが200万円の限度で支払を求め得るとする点で正しい。アは取り消された弁済に係る受益者の債権の回復の時期、イは受益者の金銭支払義務の遅滞の時期、ウは取消認容判決の効力が被告とならない中間の受益者には及ばない点(民法425条)で、いずれも誤り。
自作の解説(民法の詐害行為取消権に関する規定に基づく)
関連条文
出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[民法]第19問/民法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html