司法試験 短答式 2024 民法 第25問
特定物甲の売主Aが買主Bから代金の支払を受けるまでに、甲は、ABいずれの責めにも帰することができない事由によって滅失又は損傷した。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
- ア 甲の滅失がBへの引渡し前に生じた場合において、AがBに対し代金の支払を求めて訴えを提起したときは、Bの危険負担の抗弁は、BがAに対し代金の支払を拒絶することを主張して行使しなければならない。
- イ 甲の滅失がBへの引渡し前に生じた場合において、AがBに対し代金の支払を求めて訴えを提起し、Bの危険負担の抗弁の主張が認められるときは、請求棄却の判決がされる。
- ウ 甲の損傷がBへの引渡し前に生じた場合には、過分の費用を要することなく甲を契約の内容に適合した状態に修復して引き渡すことができるときであっても、Bは、危険負担の抗弁を主張して、代金の一部の支払を拒むことができる。
- エ AB間の売買契約に甲の所有権は代金完済時に移転する旨の特約が付されていた場合において、甲の滅失がBへの引渡し後であったときは、Bは、危険負担の抗弁を主張して代金の支払を拒むことができる。
- オ AがBに甲を引き渡そうとしたところ、その品質が契約の内容に適合しないものであったためにBがその受領を拒んだときは、その後に甲の滅失が生じたとしても、Bは、危険負担の抗弁を主張して代金の支払を拒むことができる。
- 1 ア イ
- 2 ア オ
- 3 イ エ
- 4 ウ エ
- 5 ウ オ
正答 4(配点 2)
参考
正解は4(誤りはウ・エ)。ウ:過分の費用を要することなく修補して契約に適合した物を引き渡すことができるときは履行不能ではなく危険負担の問題は生じないから、代金の一部の支払を拒めるとするのは誤り。エ:目的物の引渡し後に当事者双方の責めに帰することができない事由で目的物が滅失したときは買主が危険を負担するのであって(民法567条1項)、所有権移転時期の特約があっても引渡し後の滅失について代金支払を拒めるとするのは誤り。アは危険負担の抗弁の行使方法、イはその抗弁が認められる場合の請求棄却、オは契約不適合を理由とする受領拒絶後の滅失(民法567条)で、いずれも正しい。
自作の解説(民法の危険負担に関する規定に基づく)
関連条文
出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[民法]第25問/民法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html