司法試験 短答式 2024 民法 第9問
即時取得に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
- ア AがBから預かっているB所有の種子甲を自らの所有物であると偽って、Cに対し、消費貸借の目的として貸し、現実の引渡しをした場合には、Aが甲の所有者であるとCが過失なく信じたときであっても、Cは、甲の所有権を即時取得しない。
- イ Aは、代理権を有していないにもかかわらず、Bの代理人と称して、B所有のパソコン甲を、Bが甲の所有者であることを知るとともに、AがBの代理人であると過失なく信じたCに売り、甲を現実に引き渡した。この場合は、Cは、甲の所有権を即時取得しない。
- ウ Aは、A所有のパソコン甲をBに売り、現実の引渡しをした後、錯誤を理由にAB間の売買契約を取り消した。Bが甲の現実の引渡しを受けた時に、Aの意思表示に錯誤がないと過失なく信じていたときであっても、Bは、甲の所有権を即時取得しない。
- エ Aは、Bから預かっているB所有のパソコン甲を自らの所有物であると偽ってCに売り、Cとの間で、以後AがCのために甲を占有する旨の合意をした。この合意の時に、Aが甲の所有者であるとCが過失なく信じていたときは、Cは、甲の所有権を即時取得する。
- オ Aは、BからB所有のパソコン甲を預かっていた。Aが死亡し、Aの唯一の相続人Cが甲の占有を始めた場合には、Aが甲の所有者であるとCが過失なく信じていたときであっても、Cは、甲の所有権を即時取得しない。
- 1 ア ウ
- 2 ア エ
- 3 イ ウ
- 4 イ オ
- 5 エ オ
正答 2(配点 2)
参考
正解は2(誤りはア・エ)。ア:消費貸借の目的として現実の引渡しがされ、相手方が前主を所有者と過失なく信じたときは即時取得が成立するから、即時取得しないとするのは誤り。エ:占有改定による引渡しでは即時取得は成立しないから(最判昭和35年2月11日)、以後占有する旨の合意で即時取得するとするのは誤り。イは所有者を正しく認識していた場合、ウは前主の権利の瑕疵にすぎない場合、オは相続という取引行為によらない占有取得の場合で、いずれも即時取得は成立せず正しい。
自作の解説(民法の即時取得に関する規定と判例に基づく)
関連条文
関連判例
- 占有改定と即時取得(最判昭和35年2月11日)
出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[民法]第9問/民法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html