司法試験 短答式 2024 刑法 第10問
次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し、正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。
- ア 甲は、宝くじの当せん金を得るため、外れた宝くじに印字された番号を当せん番号に改ざんした。この場合、甲に有印私文書変造罪が成立する。
- イ 甲は、事情を知らない乙に対し、偽造通貨を真正な通貨のように装って代金として交付し、乙から商品を購入した。この場合、甲に詐欺罪及び偽造通貨行使罪が成立し、両罪は観念的競合となる。
- ウ 甲は、乙から、乙の代わりにA大学の入学試験を受けてほしいと頼まれ、これを引き受け、乙に成り済まして同入学試験を受け、氏名欄に乙の氏名を記載し、乙名義で答案を作成した。この場合、甲に有印私文書偽造罪が成立する。
- エ 甲は、行使の目的で、他人が振り出した額面100万円の小切手の金額欄に「0」を加え、額面1000万円の小切手に改ざんした。この場合、甲に有価証券偽造罪が成立する。
- オ 甲は、乙から金銭の借入れとして1万円札10枚を受け取った際、それらの中に偽造の1万円札が含まれていることに気付かず、その後、偽造の1万円札の存在に気付いたが、行使の目的でそのまま保持した。この場合、甲に偽造通貨収得罪は成立しない。
正答 2,2,1,2,1(配点 4)
参考
正解はア2・イ2・ウ1・エ2・オ1。ア:外れた宝くじの番号を改ざんする行為は有価証券の変造の問題であって、有印私文書変造罪ではないから誤り。イ:偽造通貨を行使して財物をだまし取った場合、詐欺は偽造通貨行使罪に吸収され別に詐欺罪は成立しないから、観念的競合とするのは誤り。ウ:他人に成り済まして他人名義の答案を作成する行為は有印私文書偽造罪に当たるから正しい。エ:小切手の金額を書き換える行為は有価証券の変造であって偽造ではないから、有価証券偽造罪とするのは誤り。オ:収得の時点で偽造の情を知らなかった以上、偽造通貨収得罪は成立しないから正しい。
自作の解説(刑法の偽造の罪・通貨に関する規定に基づく)
関連条文
出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[刑法]第10問/刑法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html