司法試験 短答式 2024 刑法 第13問
次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものを2個選びなさい。(解答欄は、順不同)
- 1 甲は、繁華街の通行人の面前で酒に酔い潰れて同意しない意思を表明することが困難な状態となっているAの衣類を剝ぎ取り全裸にした。この場合、甲に不同意わいせつ罪が成立するが、公然わいせつ罪は成立しない。
- 2 甲は、人通りの多い路上で自己の性器を露出させたが、通行人は誰もそれに気付かなかった。この場合、甲に公然わいせつ罪は成立しない。
- 3 甲は、わいせつな動画が収録されたDVDのレンタル業者乙に対し、同DVDを借りたい旨申し込み、乙から同DVDを借り受けた。この場合、甲にわいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪の教唆犯は成立しない。
- 4 動画配信サイトを運営していた甲は、同サイト上でわいせつな動画を不特定多数の者に閲覧させて利益を得ようと考え、わいせつな動画の投稿者を広く勧誘し、その勧誘を受けた乙が同サイトにわいせつな動画を投稿して不特定多数の者が認識できる状態にした。この場合、上記サイトを運営していた甲は、わいせつな動画を自ら投稿しておらず、甲にわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪の共同正犯が成立することはない。
- 5 甲は、インターネットを介した不特定多数の者に対するわいせつな動画の販売業を始めたが、その購入を申し込んできた客は一人のみであった。甲は、その客のパーソナルコンピュータに対し、インターネットを介してわいせつな動画データを送信し、同コンピュータに同データを受信させて保存させた。この場合、甲にわいせつ電磁的記録等送信頒布罪が成立する。
正答 3,5(配点 3)
参考
正解は3・5。1:泥酔した被害者の衣類を剝ぎ取り全裸にする行為には、不同意わいせつ罪のほか公然わいせつ罪も成立し得るから、公然わいせつ罪は成立しないとするのは誤り。2:公然わいせつ罪の「公然」は不特定又は多数の人が認識し得る状態で足り、現に認識されなくても成立し得るから誤り。3:わいせつ物を借り受ける側は頒布罪の対向犯であって処罰されず、頒布罪の教唆犯も成立しないから正しい。4:自ら投稿していなくても、投稿者を勧誘して投稿させれば陳列・頒布罪の共同正犯が成立し得るから、成立することはないとするのは誤り。5:不特定多数の者への販売の一環として客のコンピュータにわいせつな動画データを送信し保存させる行為は、わいせつ電磁的記録等送信頒布罪に当たる(最決平成26年11月25日)から正しい。
自作の解説(刑法のわいせつの罪の規定と判例に基づく)
関連条文
関連判例
- わいせつ電磁的記録等送信頒布事件(最決平成26年11月25日)
出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[刑法]第13問/刑法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html