司法試験 短答式 2024 刑法 第18問
次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
- ア 甲は、恐喝事件の被疑者としてAに逮捕状が発せられていると知りながら、Aが犯人ではないと信じてAを自宅にかくまったが、その後、Aが逮捕され、Aに対する有罪判決が確定した。この場合、Aが犯人蔵匿罪の「罪を犯した者」ではないと甲が誤信していたから、甲に同罪は成立しない。
- イ 甲は、Aが窃盗事件の犯人であると知りながら、甲が所有する船舶にAを乗船させてかくまった。この場合、甲が窃盗罪の法定刑が罰金以上の刑であることを認識していなくても、甲に犯人蔵匿罪が成立する。
- ウ 甲は、Aを被疑者とする覚醒剤取締法違反事件の参考人として警察官の取調べを受け、真実はAが覚醒剤を所持したことがなかったのに、それを警察官に隠してAが覚醒剤を所持していたとの虚偽の内容の供述をして、それを信じた警察官に同内容の供述調書を作成させ、同調書に署名押印した。この場合、甲が虚偽の供述調書を作成させた以上、甲に証拠偽造罪が成立する。
- エ 甲は、Aを被疑者とする殺人未遂事件につき、Bが必要な知識を有する参考人として警察官の取調べを受ける可能性があることを察知し、知人宅にBをかくまった。この場合、Bが捜査段階における参考人であったとしても、甲に証拠隠滅罪が成立する。
- オ 甲は、Aを被告人とする恐喝事件の公判に証人として出廷したBの証言後、Bに対し、同公判係属中、同証言をしたことに対して報復する旨の脅迫文言を記載した文書を郵送して閲読させた。この場合、Bが証言を終えているから、甲に証人威迫罪は成立しない。
- 1 ア ウ
- 2 ア オ
- 3 イ ウ
- 4 イ エ
- 5 エ オ
正答 4(配点 2)
参考
正解は4(正しいものはイ・エ)。ア:犯人蔵匿罪の「罪を犯した者」には犯罪の嫌疑で捜査の対象となっている者も含まれ、真犯人であるとの認識までは不要であるから、犯人でないと誤信していても故意は否定されず、成立しないとするのは誤り。イ:罰金以上の刑に当たる罪の犯人であることを認識していれば足り、その法定刑の認識までは要しないから正しい。ウ:参考人が捜査官に対して虚偽の供述をし、これに基づく供述調書が作成されても証拠偽造罪は成立しないから、成立するとするのは誤り。エ:捜査段階で参考人となり得る者をかくまう行為も証拠隠滅罪に当たるから正しい。オ:証人威迫罪は証言を終えた後の証人に対しても成立し得るから、成立しないとするのは誤り。
自作の解説(犯人蔵匿罪・証拠隠滅罪の規定と判例に基づく)
関連条文
出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[刑法]第18問/刑法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html