司法試験 短答式 2024 刑法 第19問
公務員が一般的職務権限を異にする他の公務に転じた後、前の公務に関して賄賂を収受した事案に関する次の各【見解】についての後記アからオまでの各【記述】のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
【見解】A説:単純収賄罪(刑法第197条第1項前段)、受託収賄罪(同項後段)又は加重収賄罪(同法第197条の3第2項)のいずれかが成立し得るとする見解/B説:事後収賄罪(刑法第197条の3第3項)のみが成立し得るとする見解
【見解】A説:単純収賄罪(刑法第197条第1項前段)、受託収賄罪(同項後段)又は加重収賄罪(同法第197条の3第2項)のいずれかが成立し得るとする見解/B説:事後収賄罪(刑法第197条の3第3項)のみが成立し得るとする見解
- ア A説の立場からは、単純収賄罪における「その職務」について「現在担当している一般的職務権限内の職務」と狭く解釈することになる。
- イ B説の立場からは、事後収賄罪における「公務員であった者」には、前の公務との関係で一般的職務権限を喪失した後の公務員も含むと解釈することになる。
- ウ A説の立場からは、公務員が退職して民間企業に就職した後に前の公務に関して賄賂を収受した場合、事後収賄罪ではなく、単純収賄罪、受託収賄罪及び加重収賄罪のいずれかが成立し得ることになる。
- エ B説に対しては、賄賂の収受の時期を遅らせて他の公務に転じた後に賄賂を収受すれば、請託や職務違反行為がない限り不可罰となってしまい、不合理であるとの批判がある。
- オ A説に対しては、賄賂が公務員の担当する「その職務」に関するものでなければならないとしている刑法の趣旨をゆがめるものであるとの批判がある。
- 1 ア ウ
- 2 ア オ
- 3 イ ウ
- 4 イ エ
- 5 エ オ
正答 1(配点 2)
参考
正解は1(誤っているものはア・ウ)。ア:A説は転職前の職務に関する収賄についても単純収賄罪等の成立を認める立場であって、「その職務」を現に担当している職務に限って狭く解釈するものではないから誤り。ウ:公務員を退職して民間人となった後に前の職務に関して賄賂を収受した場合は、もはや公務員ではないから事後収賄罪の問題となり、単純収賄罪等が成立し得るとするのは誤り。イはB説が転職後の者を「公務員であった者」に含める点、エはB説では収受の時期を遅らせれば不可罰となり得るとの批判、オはA説が職務関連性の趣旨をゆがめるとの批判で、いずれも正しい。
自作の解説(収賄罪に関する規定と学説に基づく)
関連条文
出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[刑法]第19問/刑法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html