司法試験 短答式 2024 刑法 第5問

共犯に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものはどれか。
  1. 1 甲及び乙は、強盗を共謀し、甲がA方の外で見張りをしている間に乙がA方に侵入したが、犯行の発覚を恐れた甲が、乙に対して電話で「人が集まっているから、早く止めた方がいい。俺は先に帰る。」と告げてその場から逃走した。乙は、甲の逃走を認識したが、A方内においてAに暴行を加えて現金を強取した。乙が強盗行為に着手する前に甲の逃走を認識した以上、甲及び乙に強盗罪の共同正犯は成立しない。
  2. 2 甲及び乙は、危険な作業を共同して行う過程において、Aが負傷する事故を防止するための共同の業務上の注意義務に共同して違反し、Aに傷害を負わせた。甲と乙の間にAの傷害発生についての共謀がなかった以上、甲及び乙に業務上過失致傷罪の共同正犯は成立しない。
  3. 3 甲は、乙からAを殺害するための毒物の入手を頼まれ、入手した毒物を乙に渡したが、結局、乙は、これを用いず、Aに睡眠薬を服用させた上でAを絞殺した。甲が乙に渡した毒物が利用されていないので、甲に殺人予備罪の共同正犯は成立しない。
  4. 4 甲は、乙がホテルの一室において賭博場を開張して利得を得るつもりでいることを知りながら、乙のためにA及びBを同室に誘い、賭博をさせた。甲と乙との間に意思連絡がなくとも、甲に賭博場開張図利罪の幇助犯が成立する。
  5. 5 甲は、劇場の責任者の立場にあったが、出演者乙の公然わいせつ行為を目撃しながら、乙に軽く注意をしたものの、公演を止めず、同行為の継続を容易にした。甲が乙に注意をした以上、甲に公然わいせつ罪の共犯は成立しない。

正答 4(配点 2)

参考

正解は4。1:離脱の意思を告げて逃走しても、共謀に基づく因果性が解消されていない以上、強盗の着手前でも共同正犯の責任を免れないから誤り。2:共同の業務上の注意義務に共同して違反した場合には過失の共同正犯が成立し得るから、共謀がないことのみを理由に否定するのは誤り。3:殺人予備罪の共同正犯は成立し得るから、渡した毒物が使われなくても甲の予備の共同正犯を否定するのは誤り。4:正犯者との意思連絡がなくても片面的幇助として幇助犯が成立し得るから正しい。5:制止し得る立場にある者が軽く注意しただけで犯行の継続を容易にした場合には不作為による幇助が成立し得るから、共犯は成立しないとするのは誤り。

自作の解説(刑法の共犯に関する規定と判例に基づく)

関連条文

出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[刑法]第5問/刑法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html