司法試験 短答式 2024 刑法 第7問

罪数に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものを2個選びなさい。(解答欄は、順不同)
  1. 1 甲は、転売目的でA所有のバッグを盗み、自宅に持ち帰ったが、転売先が見付からなかったため、同バッグを焼却した。この場合、甲に窃盗罪及び器物損壊罪が成立し、両罪は併合罪となる。
  2. 2 甲は、乙に対し、「バッグを盗んできたら売却してやる。」などと言って窃盗を教唆し、乙が盗んだバッグを受け取り、同バッグの売却をあっせんした。この場合、甲に窃盗教唆罪及び盗品等有償処分あっせん罪が成立し、両罪は併合罪となる。
  3. 3 甲は、当初より代金を支払う意思も能力もないのに、これらがあるように装って、民宿において朝食付きの宿泊利用を申し込み、同民宿に宿泊し、かつ、同民宿で朝食の提供を受けた。この場合、甲に刑法第246条第1項の詐欺罪及び同条第2項の詐欺罪が成立し、両罪は併合罪となる。
  4. 4 甲は、真実は募金を災害復興支援のために使うつもりはなく、自己のために費消するつもりであるのにこれを隠して、事情を知らない多数のアルバイトの募金活動員に、連日、駅前で募金箱を持たせ、「災害復興支援のために募金をお願いします。」と連呼させ、多数回にわたり、不特定多数の通行人からそれぞれ少額の現金を募金箱に投入させてだまし取った。この場合、甲に詐欺罪の包括一罪が成立する。
  5. 5 甲は、他人から盗んだクレジットカードを使用して商品をだまし取ろうと考え、A名義のクレジットカードを窃取し、家電量販店において、店員に対し、Aに成り済まして同クレジットカードを提示して商品の購入を申し込んだが、同店員に盗難カードであることを見破られたため、商品を手に入れることができなかった。この場合、甲に窃盗罪及び詐欺未遂罪が成立し、両罪は牽連犯となる。

正答 2,4(配点 3)

参考

正解は2・4。1:窃取した物を後に損壊する行為は不可罰的事後行為であって、別に器物損壊罪は成立しないから誤り。2:窃盗を教唆した上で盗品の売却をあっせんする行為には窃盗教唆罪と盗品等有償処分あっせん罪が成立し、両罪は併合罪となるから正しい。3:無銭の宿泊と飲食は一体の欺罔行為に基づくものとして包括して詐欺罪一罪と評価されるから、併合罪とするのは誤り。4:街頭募金を装い不特定多数の者から多数回にわたり金銭をだまし取る行為は詐欺罪の包括一罪となる(最決平成22年3月17日)から正しい。5:窃盗罪と詐欺未遂罪は手段と結果の関係になく牽連犯とはならないから、牽連犯とするのは誤り。

自作の解説(刑法の罪数に関する判例に基づく)

関連条文

関連判例

出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[刑法]第7問/刑法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html