レンズの公式は覚えるものではありません。作図から出てきます。出どころは相似な三角形が 2 組あることだけで、そのうちの 1 組目がこの場面です。
物体の先から出て、レンズの中心をまっすぐ進む光線を 1 本引きます。この線は、物体側に「物体の高さ を高さとし、レンズまでの距離 を底辺とする三角形」を、像側に「像の高さ を高さとし、レンズから像までの距離 を底辺とする三角形」を作ります。
2 つの三角形は、光軸のところで向かい合う角が等しく、どちらも光軸に垂直な辺を持ちます。だから相似です。相似なら対応する辺の比が等しいので、 が成り立ちます。これが 1 本目の式です。
この比は、像の大きさが実物の何倍かをそのまま表しています。倍率が になるのは、ここから来ています。
もう 1 本、物体の先から軸に平行に進む光線を引きます。この光はレンズを出ると焦点を通り、そのまま像の先へ届きます。
ここで、レンズの面の上に立つ高さに注目してください。軸に平行に来た光なので、この高さは物体の高さ にそのまま等しくなります。すると、レンズの面と焦点のあいだに「高さ 、底辺 の三角形」ができます。
焦点から像までのあいだにも「高さ 、底辺 の三角形」ができます。この 2 つも、焦点のところで向かい合う角が等しく、どちらも光軸に垂直な辺を持つので相似です。
だから が成り立ちます。これが 2 本目の式です。ここまでで、 を 2 通りに書いたことになります。
同じ を 2 通りに書いたのですから、その 2 つは等しくなります。 です。ここから先は、ただの式の整理です。
たすきに掛けて分母をはらうと になり、右辺を開くと です。 も も消えました。物体の高さは、像のできる場所には関わらないということです。
最後に両辺を で割ります。左辺は に、右辺は になるので、移項すれば です。
逆数で書くのは、この形がいちばん短く、左右が対称になるからです。 と を入れ替えても式は変わりません。物体のあった場所に像を置けば、像はもとの物体のあった場所にできます。光の道は逆向きにたどっても同じだからです。
公式ができたので、こんどは式のほうから絵を読んでみます。 と を足したものは、いつも で一定です。
物体をレンズに近づけると が小さくなり、 は大きくなります。足して一定なのですから、そのぶん は小さくなるほかありません。つまり は大きくなり、像は遠くへ離れていきます。図の像が右へ逃げていくのは、この釣り合いのためです。
物体を焦点の上まで近づけると になり、 はちょうど になります。 を無限に大きくしたということで、像はどこにもできません。レンズを出た光が平行に進んでいく状態がこれです。
焦点より内側に入れると は負になり、 も負になります。負の は、像がレンズの右ではなく左にできることを表しています。これが虚像です。式は途中で別のものに変わったわけではなく、同じ 1 本の式が符号で場合を書き分けているだけです。