司法試験 短答式 2024 憲法 第18問

次の対話は、地方自治に関する教授と学生の対話である。教授の各質問に対する次のアからウまでの学生の各回答について、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に[No.34]から[No.36])
  1. (住民投票の結果を尊重する旨の条例がある場合に長がその結果に従う法的義務を負うかとの問いに対し)条例による住民投票の結果に法的拘束力を肯定すると、間接民主制によって地方政治を行おうとする現行法の制度原理と整合しない結果を招来することになりかねないため、その地方公共団体の長は、その結果に従うべき法的な義務を負うものではありません。
  2. (条例で罰則を設けることの可否と制限の有無についての問いに対し)条例は、住民の代表機関である地方公共団体の議会の議決によって成立する民主的な立法であり、実質的には法律に準ずるものといえますから、条例によって罰則を設けることはできますし、その罰則には、法律上、特段の制限は課されていません。
  3. (憲法第93条第2項の「地方公共団体」に該当する要件についての問いに対し)その地域団体が法律で地方公共団体として取り扱われていることに加え、事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み、共同体意識を持っているという社会的基盤が存在するとの要件を満たせば、「地方公共団体」に該当し、その他の要件までは必要ありません。
  1. 1 正しい
  2. 2 誤っている

正答 1,2,2(配点 3)

参考

正解はア=1、イ=2(誤り)、ウ=2(誤り)。ア:住民投票の結果に長を法的に拘束する効力まで認めると、議会と長による間接民主制を採る地方自治の制度原理と整合しなくなりかねないため、結果を尊重する旨の条例があっても、長はその結果に従うべき法的義務を負わないと解される(諮問型住民投票)。正しい。イ:条例で罰則を設けることはできるが(地方自治法14条3項)、その刑は2年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金等と法律上の上限が定められており、また罪刑法定主義(憲法31条・73条6号但書)との関係で法律による相当程度具体的な授権を要する。記述は「特段の制限は課されていない」とする点が誤り。ウ:特別区長公選制廃止事件(最大判昭和38年3月27日)は、憲法93条2項の地方公共団体といいうるためには、社会的基盤の存在に加え、相当程度の自主立法権・自主行政権・自主財政権等の地方自治の基本的権能を付与された地域団体であることを要するとした。記述はその他の要件は必要ないとする点が誤り。

自作の解説(憲法・地方自治法および最高裁判例に基づく)

関連条文

関連判例

出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第18問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html