司法試験 短答式 2025 憲法 第16問

最高裁判所裁判官国民審査法が、平成29年10月22日に施行された最高裁判所裁判官国民審査の当時、在外国民に審査権の行使を全く認めていないことの憲法適合性について判断した最高裁判所の判決(最高裁判所令和4年5月25日大法廷判決、民集76巻4号711頁)に関する次のアからウまでの各記述について、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に[No.30]から[No.32])
  1. この判決は、審査権が、議会制民主主義の根幹をなす不可欠な権利である選挙権とはその意義、沿革等を異にし、憲法上の位置付けに差異があるとしつつも、審査権が最高裁判所に対する民主的統制の手段としての意義を有することや、憲法が衆議院議員総選挙の際に国民審査を行うこととしていることにも照らせば、憲法は、国民に対して審査権を行使する機会を平等に保障しているものと解するのが相当であるとした。
  2. この判決は、国民の審査権又はその行使の制限をすることなしには国民審査の公正を確保しつつ審査権の行使を認めることが事実上不可能ないし著しく困難であると認められる場合でない限り、そのような制限をするやむを得ない事由があるとはいえず、このような事由なしに審査権の行使を制限することは憲法に違反するとした上で、最高裁判所裁判官国民審査法が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことは、憲法に違反するものと判断した。
  3. この判決は、在外国民に審査権の行使を認める制度に関する議論の状況等に照らすと、当該国民審査の当時、国会において、最高裁判所裁判官国民審査法が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことの違憲性が明白であったものということはできず、在外国民の審査権の行使を可能にするための立法措置が何らとられていないとしても、その当時において国家賠償法の適用上違法の評価を受けるものではないとした。
  1. 1 正しい
  2. 2 誤っている

正答 2,1,2(配点 3)

参考

正解はア=2、イ=1、ウ=2。本判決は在外国民審査権訴訟(最大判令和4年5月25日民集76巻4号711頁)。ア:誤り。本判決は審査権を選挙権と同様に国民固有の権利と位置付け、その行使の機会を平等に保障しているとしたのであって、「選挙権とは意義・沿革等を異にし憲法上の位置付けに差異がある」とはしていない。イ:正しい。本判決は、やむを得ない事由がない限り審査権の行使を制限することは憲法に違反するとした上で、在外国民に審査権の行使を全く認めない国民審査法は憲法に違反するとした。ウ:誤り。本判決は、在外国民の審査権行使を可能にする立法措置を執らなかった立法不作為について、国家賠償法上違法であるとした。

自作の解説(憲法第15条・第79条および参照判例に基づく)

関連条文

関連判例

出典 法務省 令和7年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第16問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00267.html