司法試験 短答式 2025 憲法 第18問

憲法第89条後段に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[No.36])
  1. 慈善、教育若しくは博愛の事業に対する公的な援助は一般的には公の利益に沿うものであるが、公財産の濫費を防ぐ必要があり、これが憲法第89条後段の趣旨であると考える立場からは、「公の支配」に属することの意味を厳格かつ狭義に解さざるを得ない。
  2. 憲法第89条後段の趣旨を、私的な事業への不当な公権力の支配が及ぶことを防止するところにあるとする立場は、団体への公的助成が合憲であるためには、国又は地方公共団体が、業務や会計の状況に関し報告を徴したり、予算について必要な変更をすべき旨を勧告する程度の監督権があれば足りるとするものであり、「公の支配」に属することの意味を緩やかかつ広義に解することとなる。
  3. 「公の支配」に属することの意味を厳格かつ狭義に解する立場からは、国が私立学校に対して補助金を支出すること(いわゆる私学助成)は、監督官庁が私立学校に対してその自主性が失われる程度に達するような人事・予算上の権限を有しているとはいえないことから、違憲の疑いがあることとなる。
  1. 1 ア○ イ○ ウ○
  2. 2 ア○ イ○ ウ×
  3. 3 ア○ イ× ウ○
  4. 4 ア○ イ× ウ×
  5. 5 ア× イ○ ウ○
  6. 6 ア× イ○ ウ×
  7. 7 ア× イ× ウ○
  8. 8 ア× イ× ウ×

正答 7(配点 2)

参考

正解は7(ア× イ× ウ○)。一般に、89条後段の趣旨を公費の濫用防止と解する立場は「公の支配」を緩やかに解し(会計的な監督で足り、私学助成は合憲)、私的事業の自主性の確保(不当な公権力の介入の防止)にあると解する立場は「公の支配」を厳格に解する(私学助成は違憲の疑い)と整理される。ア:誤り。濫費防止を趣旨とする立場は「公の支配」を厳格・狭義にではなく緩やかに解する方向に向かう。イ:誤り。不当な介入の防止(自主性確保)を趣旨とする立場は「公の支配」を緩やか・広義にではなく厳格に解する方向に向かう。ウ:正しい。「公の支配」を厳格・狭義に解する立場からは、私学助成は監督官庁の権限が私立学校の自主性を失わせる程度に達していないため、違憲の疑いが生じる。

自作の解説(憲法第89条および学説に基づく)

関連条文

出典 法務省 令和7年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第18問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00267.html