司法試験 短答式 2025 憲法 第6問
放送の自由に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[No.10])
- ア 最高裁判所は、真実でない事項の放送により権利の侵害を受けた被害者から請求があった場合に、放送事業者に対して訂正又は取消しの放送を義務付ける放送法の規定について、その請求を、放送事業者が当該放送の真実性に関する調査及び訂正又は取消しの放送を行うための端緒と位置付けるものと解した上で、被害者は、この規定に基づき、放送事業者に対して訂正又は取消しの放送を求める私法上の権利を有するとした。
- イ 最高裁判所は、放送法上、放送事業者がどのように番組の編集をするかは、表現の自由の保障の下、公共の福祉の適合性に配慮した放送事業者の自律的判断に委ねられているから、放送事業者から取材を受けた者が、当該取材で得られた素材が一定の内容、方法により放送に使用されると期待し、あるいは信頼したとしても、その期待や信頼は、原則として法的保護の対象とはならないとした。
- ウ 最高裁判所は、日本放送協会の放送を受信することのできる受信設備の設置者に対し受信契約の締結を強制する旨を定めた放送法の規定が憲法に違反しないと判示するに当たり、公共放送を担う同協会の財政的基盤を受信料の負担により確保する仕組みは、国民の知る権利を実質的に充足するという目的にかなう合理的なものであり、このような制度の枠を離れて受信設備の設置者がこれを用いて放送を視聴する自由は憲法上保障されていないとした。
- 1 ア○ イ○ ウ○
- 2 ア○ イ○ ウ×
- 3 ア○ イ× ウ○
- 4 ア○ イ× ウ×
- 5 ア× イ○ ウ○
- 6 ア× イ○ ウ×
- 7 ア× イ× ウ○
- 8 ア× イ× ウ×
正答 5(配点 2)
参考
正解は5(ア× イ○ ウ○)。ア:誤り。訂正放送請求事件(最判平成16年11月25日)は、放送法の訂正放送等の規定は被害者からの請求を端緒に放送事業者が自律的に対応するための規定であり、被害者に私法上の訂正放送請求権を付与したものではないとした。イ:正しい。NHK番組改変事件(最判平成20年6月12日)は、取材を受けた者の素材の使用に対する期待・信頼は原則として法的保護の対象とはならないとした。ウ:正しい。NHK受信料訴訟(最大判平成29年12月6日)は、受信料で公共放送の財政的基盤を確保する仕組みを合理的とし、その制度の枠を離れて放送を視聴する自由が憲法上保障されるわけではないとした。
自作の解説(放送の自由に関する参照判例に基づく)
関連条文
関連判例
- 訂正放送請求事件(最判平成16年11月25日民集58巻8号2326頁)
- NHK番組改変事件(最判平成20年6月12日)
- NHK受信料訴訟(最大判平成29年12月6日民集71巻10号1817頁)
出典 法務省 令和7年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第6問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00267.html