司法試験 短答式 2025 刑法 第7問
過失犯に関する1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものはどれか。(解答欄は、[No.8]) (参照条文)刑法第38条 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
- 1 行政取締法規の義務は、過失犯の注意義務になり得るから、行政取締法規の義務を遵守する限り、過失犯が成立することはない。
- 2 過失犯が成立するには、結果発生に至る現実の因果経過を逐一具体的に予見することができたことを必要とする。
- 3 刑法第38条第1項ただし書の「法律に特別の規定がある場合」とは、過失行為を処罰する旨の明文の規定がある場合に限られる。
- 4 人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、かつ、その行為が他人の生命身体等に危害を加えるおそれのあるものは、業務上過失致死傷罪の「業務」に当たる。
- 5 重過失致死傷罪の「重大な過失」とは、注意義務違反の程度が著しい場合、すなわち、僅かな注意を払うことにより結果の発生を容易に回避し得たのに、これを怠って結果を発生させた場合をいい、その要件として、発生した結果が重大であること又は結果が発生する可能性が大であったことを必要とする。
正答 4(配点 2)
参考
正解は4。4:業務上過失致死傷罪の「業務」とは、人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、他人の生命身体等に危害を加えるおそれのあるものをいう(判例)から正しい。1:行政取締法規の義務を遵守していても、なお刑法上の注意義務違反が認められ過失犯が成立する余地があるから誤り。2:過失犯の成立には現実の因果経過を逐一具体的に予見できたことまでは要せず、因果経過の基本的部分の予見可能性で足りるから誤り。3:「特別の規定」は過失処罰の明文がある場合に限られず、規定の解釈上過失犯を含むと解される場合もあるから誤り。5:「重大な過失」は注意義務違反の程度が著しいことをいい、発生した結果の重大性や結果発生の可能性が大であったことは要件でないから誤り。
自作の解説(過失犯に関する規定および判例に基づく)
関連条文
出典 法務省 令和7年司法試験 短答式試験 問題集[刑法]第7問/刑法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00267.html