沸点上昇と凝固点降下の求め方

水に何かを溶かすと、沸点は上がり凝固点は下がります。変化の大きさは 溶質の種類ではなく、溶けている粒子の数だけで決まります。質量モル濃度から、水の沸点と凝固点がどこへ動くかを求めます。

水に何かを溶かすと、沸点は 100 ℃ より上がり、凝固点は 0 ℃ より下がります。おもしろいのは、この変化の大きさが溶けているものの種類にほとんどよらないことです。効くのは溶けている粒子の数だけです。このような性質を束一的性質といいます。

ΔTb=KbmiΔTf=Kfmi\Delta T_b = K_b \, m \, i \qquad \Delta T_f = K_f \, m \, i

質量モル濃度は、溶液ではなく溶媒の質量で割ります。ふだん使うモル濃度と分母が違うところに注意してください。

ii は、食塩ならナトリウムイオンと塩化物イオンに分かれるので 2、塩化カルシウムなら 3、砂糖のように分かれないものは 1 です。

既定の入力は、食塩 5.85 g を水 1000 g に溶かした場合です。

質量モル濃度は 5.85÷58.44÷15.85 \div 58.44 \div 1 でおよそ 0.1001 mol/kg になります。食塩は 2 つに分かれるので、効く粒子はその 2 倍です。

沸点上昇はおよそ 0.1031 ℃、凝固点降下はおよそ 0.3710 ℃ です。沸点は 100.103 ℃、凝固点は −0.371 ℃ になります。

凝固点のほうが動きやすい

水の KfK_fKbK_b のおよそ 3.6 倍あります。同じ濃度でも凝固点のほうが大きく動くので、測るなら凝固点のほうが精度を出せます。分子量を測る古典的な方法に凝固点降下が使われたのは、この差によるものです。

道路にまく融雪剤や、不凍液がはたらくのも同じ原理です。塩化カルシウムがよく使われるのは、1 分子が 3 つに分かれて効きが大きいためです。

注意

パスタをゆでるときの塩は、沸点を上げるためではありません。水 1 L に対して 10 g、つまり 1 パーセント入れても、沸点はおよそ 0.18 ℃ しか上がりません。味付けと、麺の表面のためのものです。

この計算機は溶媒を水に決めてあります。ほかの溶媒では KbK_bKfK_f が変わります。

濃い溶液では式のとおりになりません。イオンどうしが引き合って完全には分かれなくなるためで、実際の ii は 2 より少し小さくなります。薄い溶液での近似だと考えてください。

昔ながらのアイスクリーム作りで、氷に塩を混ぜるのもこの原理です。氷だけでは 0 ℃ より下がりませんが、塩を混ぜると凝固点が下がり、−20 ℃ 近くまで冷やせます。材料を冷やす手段ではなく、冷やせる温度そのものを作り出しているわけです。