検査の性能を表す値を求めます。感度は病気の人を陽性と当てる割合、特異度は健康な人を陰性と当てる割合です。的中率は結果を受け取った側から見た確率で、有病率によって大きく変わります。
検査の良し悪しを表す数はいくつもありますが、見る向きによって意味がまるで変わります。検査する側から見た数と、結果を受け取る側から見た数は別のものです。
検査する側から見るのが感度と特異度です。
結果を受け取る側から見るのが的中率です。
感度は病気の人を取りこぼさない力、特異度は健康な人を無駄に引っかけない力です。陽性的中率は「陽性と言われた人が本当に病気である確率」、陰性的中率は「陰性と言われた人が本当に健康である確率」になります。
既定の入力は 10000 人を検査した結果です。真陽性 90、偽陽性 900、偽陰性 10、真陰性 9000 でした。
病気の人は で 100 人、健康な人は で 9900 人、有病率は 1% です。
感度は で 90%、特異度は でおよそ 90.91% です。どちらも高く、性能のよい検査に見えます。
ところが陽性的中率は で、およそ 9.09% しかありません。陽性と言われた人のうち、本当に病気なのは 11 人に 1 人ということです。
人数の内訳を見れば分かります。病気の人は 100 人しかいませんが、健康な人は 9900 人います。特異度が 90.91% ということは、健康な 9900 人のうち 9% あまり、つまり 900 人が誤って陽性になるということです。正しく陽性になる 90 人に対して、誤りが 900 人。合わせて 990 人の陽性のうち、当たりは 90 人だけです。
性能そのものは悪くありません。もとの人数が偏っているのです。まれな病気を探すとき、偽陽性は健康な大多数から生まれるので、数の上で真陽性を押し流してしまいます。これはベイズの定理が言っていることそのもので、事前確率(有病率)が低ければ事後確率も上がりにくい、という話です。
感度と特異度は検査そのものの性質なので、どの集団に使っても変わりません。的中率は有病率で大きく変わります。同じ検査でも、症状のある人に使えば的中率は高く、症状のない大勢に使えば低くなります。検査の数字を読むときは、必ずどちらの話かを確かめてください。
この理由から、まれな病気のスクリーニングでは 2 段階の検査が組まれます。1 段階目で広く拾い、陽性になった人だけに精度の高い検査をかけます。1 段階目を通った時点で有病率が上がっているので、2 段階目の的中率は高くなります。