電気分解で析出する物質の量を求めます。流した電気量を電子の物質量に直し、イオンの価数で割ってから、モル質量を掛けます。電子 1 mol が運ぶ電気量がファラデー定数です。
電気分解で電極に析出する物質の量は、流した電気量にきれいに比例します。ファラデーが見つけた法則です。
手順は 3 段階です。まず電流と時間から電気量を出し、それを電子の物質量に直し、イオンの価数で割って物質の量にします。
ファラデー定数は、電子 1 mol が運ぶ電気量です。電気素量にアボガドロ定数を掛けたもので、どちらも定義値なので も厳密に決まります。
価数で割るのは、イオンを金属に戻すのに何個の電子が要るかが価数だからです。銅イオンは 2 価なので、銅原子 1 個を作るのに電子が 2 個要ります。
既定の入力は、2 A の電流を 60 分流して銅を析出させる場合です。
電気量は で 7200 C になります。電子の物質量は でおよそ 0.07462 mol です。
銅は 2 価なので、析出する銅はその半分のおよそ 0.03731 mol です。モル質量 63.55 を掛けて、析出量はおよそ 2.371 g になります。
1 価の銀に 1 A を 1 時間流すと、計算ではおよそ 4.0248 g が析出します。
この数字には由来があります。かつてアンペアは「1 秒間に銀を 0.001118 g 析出させる電流」と定義されていました。3600 秒ぶんに直すと 4.0248 g で、計算と一致します。式が実験の定義そのものと合っていることが確かめられます。
電流のすべてが目的の反応に使われる前提の計算です。実際には水の電気分解などの副反応が起こり、そのぶん析出量は減ります。この割合を電流効率といい、めっきでは 90 パーセント台のこともあれば、もっと低いこともあります。
時間は分で入力しますが、式では秒に直しています。単位を取り違えると 60 倍ずれるので気をつけてください。
めっき、銅の電解精錬、アルミニウムの製錬は、いずれもこの法則の上に成り立っています。アルミの製錬に大量の電力が要るのは、3 価であることと、モル質量が小さいことの両方が効いているためです。
ファラデー定数 96485 C は、電池の容量で使う単位に直すとおよそ 26.8 Ah です。1 mol ぶんの電子を流すのに、26.8 A の電流を 1 時間流し続ける必要がある、という大きさになります。