等分散のF検定の求め方

2 組のデータのばらつきが同じと言えるかを調べます。大きいほうの不偏分散を小さいほうで割った F 値を、F 分布と比べます。2 標本の t 検定で welch と student のどちらを選ぶかの目安になります。

2 つの機械で同じ部品を作ったとき、平均の寸法だけでなく、ばらつきの大きさが同じかどうかも気になります。2 組のデータのばらつきに差があると言えるかを調べるのが F 検定です。

F=s12s22F = \dfrac{s_1^2}{s_2^2}

2 つの分散が等しければ、その比は 1 のあたりに来るはずです。1 から大きく離れるほど、ばらつきが違うという証拠になります。どれだけ離れたら偶然では説明できないかを教えてくれるのが F 分布です。

大きいほうを分子に置くのには理由があります。そうすれば FF は必ず 1 以上になり、上側の裾だけを見れば済むからです。そのかわり、どちらが大きいかを決めずに検定するには、上側の確率を 2 倍して両側にします。

F 分布は 2 つの自由度で形が決まります。分子と分母それぞれのデータの個数から 1 を引いた値です。

既定の入力 A が 12, 15, 18, 20, 25、B が 10, 14, 15, 17, 19 で見てみます。

A の平均は 18 で、偏差の 2 乗の和は 98 です。個数 5 から 1 を引いた 4 で割って、不偏分散は 24.5 になります。B の平均は 15 で、偏差の 2 乗の和は 46、不偏分散は 11.5 です。

A のほうが大きいので、F 値は 24.5÷11.524.5 \div 11.5 でおよそ 2.1304 になります。自由度は分子・分母ともに 4 です。

両側の p 値はおよそ 0.4819 で、臨界値はおよそ 9.6045 です。F 値がはるかに下回っているので、「ばらつきが違うとは言えない」という結論になります。分散の比が 2 倍あっても、5 個ずつのデータでは偶然の範囲に収まってしまうということです。

注意

この検定は、データが正規分布に従うという前提に強く寄りかかっています。正規分布から少し外れているだけで結果が大きく狂うことが知られていて、そのため実務では使わないほうがよいとされる場面が増えています。

2 標本の t 検定でどちらの方法を選ぶかを決めるために F 検定をする、という手順が教科書には載っていますが、いまは最初から welch の方法を使うことが勧められています。welch は等分散を仮定せず、分散が実際に等しいときでもほとんど性能が落ちないためです。

有意にならなかったことは、ばらつきが等しいことの証明ではありません。この例のように、データが少なければ 2 倍の差でも見つけられません。

データを増やせば話は変わります。同じ有意水準でも、自由度が 4 と 4 のときの臨界値がおよそ 9.6045 なのに対し、20 と 20 になるとおよそ 2.4645 まで下がります。21 個ずつ集めていれば、2.1304 という F 値でも有意になっていたということです。