勾配から屋根の面積を求める方法

真上から見た面積(水平投影面積)と屋根勾配から、実際の屋根の面積を求めます。勾配がつくぶん斜面は水平よりも長くなるので、その伸びを表す勾配係数を掛けます。屋根材を頼むときに要る数字です。

屋根の面積は、真上から見た面積より必ず大きくなります。傾いているぶん、斜面は水平よりも長いからです。

真上から見た面積を水平投影面積といいます。ここに勾配係数を掛けると実際の屋根面積になります。

k=1+(p10)2S=Akk = \sqrt{1 + \left(\dfrac{p}{10}\right)^2} \qquad S = A k

係数の中身は三平方の定理です。水平に 10 進むあいだに垂直へ pp 上がるなら、斜面の長さは 102+p2\sqrt{10^2 + p^2} になります。これを 10 で割ったものが、水平 1 に対する斜面の長さです。

既定の入力は、水平投影面積 60 平方メートルの 4 寸勾配です。

勾配係数は 1+0.16\sqrt{1 + 0.16} でおよそ 1.0770 になります。屋根面積は 60×1.077060 \times 1.0770 でおよそ 64.62 平方メートルです。角度に直すとおよそ 21.8 度になります。

ロス率 10 パーセントを見込むと、屋根材はおよそ 71.08 平方メートルぶん必要です。

勾配係数の目安

よく使われる勾配の係数を並べておきます。3 寸でおよそ 1.0440、4 寸でおよそ 1.0770、5 寸でおよそ 1.1180、6 寸でおよそ 1.1662 です。10 寸勾配はちょうど 45 度で、係数は 2\sqrt{2} のおよそ 1.4142 になります。

日本の住宅では 4 寸から 5 寸あたりがもっとも一般的です。雨や雪を流すのに十分で、足場を組めば人が乗って作業できる傾きだからです。

注意

水平投影で屋根材を頼むと足りません。4 寸勾配なら 8 パーセント、6 寸なら 17 パーセント不足します。この差はロス率で吸収できる大きさではありません。

入力するのは軒の出を含んだ水平投影面積です。建物の床面積ではありません。軒がまわりに 60 cm 出ていれば、その帯のぶんだけ広くなります。

切妻と寄棟では屋根の割れ方が違いますが、水平投影面積が同じなら屋根面積も同じになります。屋根の形ではなく勾配が効くためです。

屋根材にはそれぞれ使える勾配の下限があります。瓦は水が回り込まないよう 4 寸以上、スレートは 3 寸以上が目安です。金属板は継ぎ目を折り曲げて水を止められるので、1 寸に近い緩い勾配でも葺けます。勾配を決めるときは、見た目や小屋裏の高さだけでなく、葺きたい材料が対応しているかを先に確かめてください。