標本で得られた比率が、仮定した比率とちがうと言えるかを調べます。z = (標本比率 − 仮定した比率) ÷ √(仮定した比率 × (1 − 仮定した比率) ÷ 個数) を、標準正規分布と比べます。
コインを 200 回投げて表が 120 回出たとき、このコインは偏っていると言ってよいのか。標本で得られた比率が、仮定した比率とちがうと言えるかを調べるのが母比率の検定です。
分子は「実際に出た比率と、仮定した比率とのずれ」です。分母はそのずれの標準誤差、つまり「たまたまでも起こりうるずれの大きさ」です。割り算をすることで、ずれがたまたまの範囲に収まるのか、それを超えているのかを測ります。
分母に標本比率ではなく を使うところが要点です。この検定は「母比率が である」という仮定が正しいとしたら何が起こるかを調べるものなので、標準誤差もその仮定のもとで作ります。信頼区間を作るときは逆に標本比率を使うので、ここは混同しやすいところです。
既定の入力で見てみます。標本の大きさ 200、該当した個数 120、仮定する母比率 50%、有意水準 5% です。
標本比率は で 60% です。仮定した 50% との差は 0.1 になります。標準誤差は でおよそ 0.035355 ですから、z 値は でおよそ 2.8284 です。
両側の p 値はおよそ 0.004678 になります。臨界値は 1.9600 で、z 値の絶対値がこれを超えているので、有意水準 5% で「母比率は 50% とは言えない」と判断します。
p 値の 0.004678 は、母比率が本当に 50% だったとしても、これほどのずれが偶然起こる確率がおよそ 0.47% しかない、という意味です。
正規分布で近似しているので、標本が小さすぎると当てになりません。 と がどちらも 5 以上あることが目安です。この例ではどちらも 100 で、十分に足りています。
ここで出しているのは両側の p 値です。「50% より大きいと言えるか」のように向きを決めて調べるときは片側検定になり、p 値は半分になります。ただし向きはデータを見る前に決めておかなければなりません。結果を見てから都合のよい側を選ぶと、有意になりやすいほうへ寄せることになります。
有意にならなかったことは、「差がない」ことの証明ではありません。差が見つからなかった、というだけです。