司法試験 短答式 2022 憲法 第1問
憲法が保障する基本的人権の制約理由に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[No.1])
- ア 表現の自由などの精神的自由も、その行使の結果から本人を保護するために法律により制限を加えられることがあるが、こうした制限については、専門技術的な判断が伴うことから立法者に広い裁量が認められるので、目的との関連で著しく不合理であることが明らかである場合に限って、その効力を否定することができる。
- イ 職業選択の自由は、社会生活における安全の保障及び秩序の維持等の消極的な目的や、国民経済の円満な発展や社会公共の便宜の促進、経済的弱者の保護等の社会政策及び経済政策上の積極的な目的のほか、租税の適正かつ確実な賦課徴収を図るという国家の財政目的のために制約され得る。
- ウ 労働基本権は、勤労者の経済的地位の向上のための手段として認められたものであって、それ自体が目的とされる絶対的なものではないから、憲法第13条のいう公共の福祉のための制約を受けるほか、公務員の争議行為の禁止の場合のように、勤労者を含めた国民全体の共同利益の見地からする制約を受ける。
- 1 ア○ イ○ ウ○
- 2 ア○ イ○ ウ×
- 3 ア○ イ× ウ○
- 4 ア○ イ× ウ×
- 5 ア× イ○ ウ○
- 6 ア× イ○ ウ×
- 7 ア× イ× ウ○
- 8 ア× イ× ウ×
正答 6(配点 2)
参考
正解は6(ア×、イ○、ウ×)。ア:「著しく不合理であることが明らかである場合に限って」効力を否定できるという緩やかな審査(明白の原則)は、積極目的の経済的自由規制について用いられるものであり(小売市場事件)、精神的自由の制約にこれを及ぼすことはできない。イ:職業の自由は、消極目的・積極目的の規制のほか、租税の適正かつ確実な賦課徴収という国家の財政目的による制約も受ける(酒類販売業免許制事件)。ウ:全農林警職法事件は、労働基本権が勤労者の経済的地位の向上のための手段であって絶対的なものではないから、勤労者を含めた国民全体の共同利益の見地からする制約を免れないとし、それは憲法13条の趣旨に徴しても疑いを容れないとした。判例が説くのはこの共同利益による一個の制約であって、13条の公共の福祉による制約を受けたうえに、さらに共同利益による制約を重ねて受けるという構成は採っていない。
自作の解説(憲法第13条・第22条・第28条および最高裁判例に基づく)
関連条文
関連判例
- 全農林警職法事件(最大判昭和48年4月25日刑集27巻4号547頁)
- 小売市場事件(最大判昭和47年11月22日刑集26巻9号586頁)
- 酒類販売業免許制事件(最判平成4年12月15日民集46巻9号2829頁)
出典 法務省 令和4年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第1問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00104.html