司法試験 短答式 2023 民法 第21問
AのBに対する金銭債権(以下「甲債権」という。)とBのAに対する金銭債権(以下「乙債権」という。)との相殺に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.21])
- ア 甲債権が売買代金債権であり、乙債権がBの所有するパソコンをAが過失によって損傷したことによる不法行為に基づく損害賠償債権であったときは、Aは、相殺をもってBに対抗することができる。
- イ AがBのCに対する債務をBの委託を受けて保証していた場合において、Bの債権者Dが売買代金債権である乙債権を差し押さえた後、AがCに対する保証債務を履行し、求償権である甲債権を取得したときは、Aは、相殺をもってDに対抗することができる。
- ウ 甲債権がAB間のパソコンの売買に基づく売買代金債権であったときは、Aは、Bに対してパソコンの引渡しの提供をしていなくても、乙債権との相殺をもってBに対抗することができる。
- エ 甲債権と乙債権とが相殺適状となった後に甲債権が時効によって消滅した場合において、その後、BがAに対して乙債権の履行を請求したときは、Aは、相殺をもってBに対抗することができる。
- オ 甲債権について弁済期が到来していなくても、乙債権について弁済期が到来していれば、Aは、相殺をもってBに対抗することができる。
- 1 ア イ
- 2 ア ウ
- 3 イ エ
- 4 ウ オ
- 5 エ オ
正答 4(配点 2)
参考
正解は4(誤りはウ・オ)。ウ:甲債権(売買代金債権)には目的物引渡しとの同時履行の抗弁が付着しており、抗弁権の付着した債権を自働債権として相殺することはできないから、引渡しの提供をしなくても相殺できるとする記述は誤り。オ:相殺には自働債権である甲債権の弁済期が到来していることを要し、受働債権である乙債権の弁済期が到来しているだけでは相殺できないから、記述は誤り。ア・イ・エは正しい(アは509条、イは511条2項、エは508条)。
自作の解説(民法第505条・第508条・第509条・第511条および判例に基づく)
関連条文
出典 法務省 令和5年司法試験 短答式試験 問題集[民法]第21問/民法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00198.html