司法試験 短答式 2023 民法 第36問
重大な過失に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.36])
- ア 代理人が自己の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合には、相手方がその目的を知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなされる。
- イ 預貯金債権について当事者がした譲渡制限の特約は、その債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては、その者がその特約の存在を知り、又は重大な過失によって知らなかったとしても、対抗することができない。
- ウ 債権について当事者がした相殺を禁止する旨の特約は、その債権の譲受人がその特約の存在を知り、又は重大な過失によって知らなかった場合には、その譲受人に対抗することができる。
- エ 債務の弁済として給付をした者は、給付の時において債務の存在しないことを知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、その給付したものの返還を請求することができない。
- オ 賃借人が失火によって賃借物を滅失させたときは、賃貸人は、賃借人に重大な過失がない限り、債務不履行による損害賠償の請求をすることができない。
- 1 ア イ
- 2 ア エ
- 3 イ ウ
- 4 ウ オ
- 5 エ オ
正答 3(配点 2)
参考
正解は3(正しいのはイ・ウ)。イ:預貯金債権に係る譲渡制限の特約は、これを差押債権者に対抗することができない(民法466条の5第2項)から、その者の主観を問わず対抗できない。ウ:当事者がした相殺を禁止・制限する意思表示は、第三者がこれを知り又は重大な過失によって知らなかったときは、その第三者に対抗できる(505条2項)。アは代理権の濫用は相手方が目的を知り又は知ることができたときに無権代理とみなされる(107条)から誤り、エは非債弁済で返還請求できないのは債務の不存在を知って弁済した場合であり(705条)重過失で知らなかった場合を含まないから誤り、オは失火責任法は債務不履行責任には適用されないから誤り。
自作の解説(民法第107条・第466条の5・第505条・第705条および判例に基づく)
関連条文
関連判例
- 失火責任法と債務不履行責任(最判昭和30年3月25日民集9巻3号385頁)
出典 法務省 令和5年司法試験 短答式試験 問題集[民法]第36問/民法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00198.html