司法試験 短答式 2023 民法 第5問

無効又は取消しに関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.5])
  1. Aに強迫されたBが50万円をCに贈与する旨の意思表示をCに対してした場合において、強迫につき善意のCがBから受領した50万円を遊興のために費消したときは、その後、Bが贈与の意思表示を取り消したとしても、Cは、Bに対し、何らの返還義務も負わない。
  2. AがBを欺罔して、B所有の甲土地をAに贈与する旨の意思表示をBにさせた場合、Aは、Bに対し、相当の期間を定めて、その期間内に当該意思表示を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。
  3. AのBに対する意思表示がAの重大な過失による錯誤に基づくものであった場合には、Aに錯誤があることをBが重大な過失によって知らなかったとしても、Aは、錯誤を理由にその意思表示を取り消すことができない。
  4. AとBとが通謀してA所有の甲土地をBに売買する旨を仮装し、Bへの所有権移転登記がされた後、Bが甲土地をCに売却し、更にCが甲土地をDに売却した場合において、CがAB間の仮装を知っていたときは、DがAB間の仮装を知らなかったとしても、Aは、Dに対し、AB間の売買の意思表示の無効を対抗することができる。
  5. Aがその真意ではないことを知りながらAの所有する甲土地をBに売る旨の意思表示をした場合において、BがAの意思表示が真意ではないことを知ることができたためにAの意思表示が無効であったとしても、善意のCがBから甲土地を買い受けたときは、Aは、Cに対し、その無効を対抗することができない。
  1. 1 ア ウ
  2. 2 ア オ
  3. 3 イ ウ
  4. 4 イ エ
  5. 5 エ オ

正答 2(配点 3)

参考

正解は2(正しいのはア・オ)。ア:無償行為の取消しでは善意の受益者は現存利益の返還で足り(民法121条の2第2項)、善意のCが受領金を遊興のため費消して現存利益がないときは返還義務を負わない。オ:心裡留保による無効は善意の第三者に対抗できない(93条2項)。イは詐欺取消しに催告権(20条は制限行為能力者の相手方の権利)の適用はなく誤り、ウは相手方が重過失で錯誤を知らなかったときは表意者は取り消せる(95条3項1号)から誤り、エは善意の転得者は前主が悪意でも94条2項で保護されるから誤り。

自作の解説(民法第93条・第94条・第95条・第121条の2および判例に基づく)

関連条文

関連判例

出典 法務省 令和5年司法試験 短答式試験 問題集[民法]第5問/民法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00198.html