司法試験 短答式 2023 憲法 第17問
違憲審査に関する次のアからウまでの各記述について、正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は、[No.33])
- ア 警察予備隊違憲訴訟判決(最高裁判所昭和27年10月8日大法廷判決、民集6巻9号783頁)は、出訴等に関する手続を法律で定めれば、最高裁判所には法令等の合憲性を抽象的・一般的に審査・決定する権限を付与することもできるという考え方を否定するものではないと見る余地もある。
- イ 判例によれば、関税法の没収規定に基づき、密輸しようとした第三者の所有物について没収の言渡しを受けた被告人が、当該規定が、第三者の財産について、第三者に何らの告知、弁解、防御の機会を与えることなく所有権を奪うものであるとし、第三者の権利を援用して違憲の主張をすることは、訴訟において他人の権利に干渉し救済を求めるものであるから許されない。
- ウ 判例によれば、公職選挙法の規定において、一定の者につき選挙権を制限していることの憲法適合性については、当該者が自己の選挙権の侵害を理由にその救済を求めて提起する訴訟においてこれを争うことの可否はおくとしても、同法第204条の選挙無効訴訟において選挙人らが他者の選挙権の制限に係る当該規定の違憲を主張してこれを争うことは法律上予定されていない。
- 1 ア○ イ○ ウ○
- 2 ア○ イ○ ウ×
- 3 ア○ イ× ウ○
- 4 ア○ イ× ウ×
- 5 ア× イ○ ウ○
- 6 ア× イ○ ウ×
- 7 ア× イ× ウ○
- 8 ア× イ× ウ×
正答 3(配点 2)
参考
正解は3(ア○イ×ウ○)。ア:警察予備隊違憲訴訟(最大判昭和27年10月8日民集6巻9号783頁)は、現行制度の下では最高裁が具体的争訟を離れて抽象的に違憲審査をする権限を有しないとした。もっとも、これは現行制度を前提とした判断であり、出訴手続等を法律で定めれば抽象的審査権を付与できるという考え方まで否定したものではないと見る余地もあり、記述は正しい(○)。イ:第三者所有物没収事件(最大判昭和37年11月28日刑集16巻11号1593頁)は、第三者に告知・弁解・防御の機会を与えずにその所有物を没収することは適正手続に反し、被告人はこれを理由に違憲の主張をすることができるとした。これを許されないとする記述は判例に反し誤り(×)。ウ:公職選挙法204条の選挙無効訴訟は選挙の効力を争うものであり、選挙人が他者の選挙権制限に係る規定の違憲を主張してこれを争うことは法律上予定されていないと解されており、記述は正しい(○)。
自作の解説(憲法第81条・第31条および最高裁判例に基づく)
関連条文
関連判例
- 警察予備隊違憲訴訟(最大判昭和27年10月8日民集6巻9号783頁)
- 第三者所有物没収事件(最大判昭和37年11月28日刑集16巻11号1593頁)
出典 法務省 令和5年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第17問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00198.html