司法試験 短答式 2023 憲法 第8問

労働基本権に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に[No.14]から[No.16])
  1. ユニオン・ショップ協定とは、労働協約において、使用者が従業員のうち労働組合に加入しない者及び労働組合の組合員でなくなった者を解雇する義務を負う定めを置くことをいうが、ユニオン・ショップ協定において、使用者が同協定を締結した組合以外の他の労働組合に加入している者を解雇する義務を負うと定めることは、憲法第28条が保障する労働者の組合選択の自由及び他の労働組合の団結権を侵害するため許されない。
  2. 労働組合は、憲法第28条が団結権を保障する効果として、組合員に対する統制権を有するから、労働組合が、地方議会議員の選挙に当たり、統一候補を決定して組合を挙げて選挙運動を推進している場合に、組合の方針に反して立候補しようとする組合員に対し、立候補の取りやめを要求し、これに従わないことを統制違反として処分することは許される。
  3. 憲法第28条の労働基本権の保障は公務員に対しても及ぶが、国家公務員の従事する職務には公共性がある一方、法律によりその主要な勤務条件が定められ、身分が保障されているほか、適切な代償措置が講じられていることなどからすれば、法律により国家公務員の争議行為を禁止することは、勤労者をも含めた国民全体の共同利益の見地からするとやむを得ない制約というべきであって、憲法第28条に違反しない。
  1. 1 正しい
  2. 2 誤っている

正答 1,2,1(配点 3)

参考

正解はア=1、イ=2、ウ=1。ア:三井倉庫港運事件(最判平成元年12月14日民集43巻12号2051頁)は、ユニオン・ショップ協定のうち締結組合以外の他の労働組合に加入している者を解雇する義務を定める部分は、労働者の組合選択の自由や他の労働組合の団結権を侵害し許されないとした。記述は判例に合致する(正しい)。イ:三井美唄炭鉱労組事件(最大判昭和43年12月4日刑集22巻13号1425頁)は、組合が統一候補以外の立候補を思いとどまるよう勧告・説得することは許されるが、立候補の取りやめを要求し、これに従わないことを統制違反として処分することは統制権の限界を超え許されないとした。処分を許されるとする記述は判例の趣旨に反し誤り(誤っている)。ウ:全農林警職法事件(最大判昭和48年4月25日刑集27巻4号547頁)は、職務の公共性、勤務条件の法定、身分保障、代償措置の存在等からすれば、法律により国家公務員の争議行為を禁止することはやむを得ない制約であり憲法28条に違反しないとした。記述は判例に合致する(正しい)。

自作の解説(憲法第28条および最高裁判例に基づく)

関連条文

関連判例

出典 法務省 令和5年司法試験 短答式試験 問題集[憲法]第8問/憲法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00198.html