司法試験 短答式 2023 刑法 第2問
暴行罪及び傷害罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、誤っているものの個数を後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は、[No.6])
- ア 相手方の眼前に抜き身の日本刀を突き付けたとしても、その刃が同人に接触しない限り、暴行罪が成立することはない。
- イ 相手方の意思に反して、その耳元で楽器を大音量で鳴らし続けた場合には、人の身体に対して不法な攻撃を加えたものとして暴行罪が成立し得る。
- ウ ひそかに相手方に睡眠薬を摂取させ、2時間にわたり意識を失わせるとともに筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせたとしても、覚醒後の健康状態に支障がない場合には、傷害罪が成立することはない。
- エ 性病を有する者が、性行為を行えば相手方に感染させる危険性があると認識しながら、情を秘して同人と性行為を行い、同人に性病を感染させたとしても、同人が性行為に同意している場合には、傷害罪が成立することはない。
- オ 相手方に暴行を加えて負傷させた者が、傷害結果が発生することについて認識を欠いている場合には、傷害罪が成立することはない。
- 1 1個
- 2 2個
- 3 3個
- 4 4個
- 5 5個
正答 4(配点 2)
参考
正解は4(誤っているものはア・ウ・エ・オの4個)。ア:暴行は身体への接触を要せず、抜き身の日本刀を突き付ける行為も暴行に当たるから、接触しない限り成立しないとするのは誤り。ウ:睡眠薬により意識障害や筋弛緩等の急性中毒症状を生じさせれば、一時的でも生理的機能に障害を与えたものとして傷害罪が成立する(最決平成24年1月30日)から、誤り。エ:性行為への同意は傷害への同意を含まず、情を秘して性病を感染させれば傷害罪が成立するから、誤り。オ:傷害罪は暴行の故意があれば足り、傷害結果の認識を欠いても結果的加重犯として成立するから、誤り。イは音の作用による暴行が成立し得る点で正しい。
自作の解説(刑法第204条・第208条および判例に基づく)
関連条文
関連判例
- 睡眠薬による傷害(最決平成24年1月30日刑集66巻1号36頁)
出典 法務省 令和5年司法試験 短答式試験 問題集[刑法]第2問/刑法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00198.html