司法試験 短答式 2024 民法 第28問
注文者Aが請負人Bに甲建物の建築を請け負わせた場合に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
- ア 請負契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権はAに帰属する旨の約定がある場合において、請負契約が中途で解除されたときは、Bから一括して当該工事を請け負ったCが自ら材料の全部を提供して出来形部分を築造したとしても、特段の事情のない限り、当該出来形部分の所有権は、Aに帰属する。
- イ Bが建築を完成しAに引き渡した甲建物の品質が請負契約の内容に適合しない場合において、Aがその不適合を理由として修補に代わる損害賠償を請求したときは、Aは、特段の事情のない限り、その提供を受けるまで、損害相当額を限度として報酬の支払を拒むことができる。
- ウ Bが材料の全部を提供して建築を行い、Aが棟上げの時までに報酬の半額以上を支払い、その後、工事の進行とともに残報酬の支払をしていたときは、甲建物の所有権は、特段の事情のない限り、その完成と同時に原始的にAに帰属する。
- エ Bが建築を完成しAに引き渡した甲建物の品質が請負契約の内容に適合しない場合において、Bが引渡時にそのことについて善意無重過失であったときは、AがBに対しその不適合を理由として損害賠償の請求をするためには、Aは、その不適合を知った時から1年以内にその訴えを提起しなければならない。
- オ 請負契約がBの債務不履行により中途で解除された場合において、可分な部分の給付によってAが利益を受けるときは、Bは、Aが受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
- 1 ア ウ
- 2 ア オ
- 3 イ ウ
- 4 イ エ
- 5 エ オ
正答 4(配点 2)
参考
正解は4(誤りはイ・エ)。イ:修補に代わる損害賠償の債務と報酬債務とは同時履行の関係に立ち(民法533条括弧書)、注文者は報酬の全額についてその支払を拒むことができるから、拒み得る範囲を損害相当額に限るとするのは誤り。エ:種類又は品質に関する契約不適合を理由とする担保責任は、注文者が不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知すれば足り(民法637条)、その期間内に訴えを提起することまでは要しないから誤り。アは中途解除の場合の出来形部分の所有権の帰属、ウは材料を提供した請負人が報酬の一部を受領していた場合の建物所有権の原始的帰属、オは可分な給付による割合的報酬(民法634条)で、いずれも正しい。
自作の解説(民法の請負に関する規定と判例に基づく)
関連条文
出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[民法]第28問/民法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html