司法試験 短答式 2024 民法 第31問

不法行為に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
  1. 被用者が取引行為によってその相手方に損害を加えた場合において、その行為が外形からみて使用者の事業の範囲内に属すると認められるときであっても、それが被用者の職務権限内で適法に行われたものでなく、かつ、相手方がその事情を知り、又は、知らないことについて過失があれば、使用者は、使用者責任を負わない。
  2. 使用者が被害者に対して使用者責任に基づく損害賠償義務を履行した場合に、使用者の被用者に対する求償権の行使は、信義則上相当と認められる限度に制限されることがある。
  3. 土地工作物の設置の瑕疵によって他人に損害が生じた場合において、土地工作物の占有者として損害賠償の責任を負う者が無資力であるときは、土地工作物の所有者も損害賠償の責任を負う。
  4. プライバシーを侵害した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、謝罪広告を命ずることができる。
  5. 自動車の運転者の過失による事故の被害者が幼児である場合において、両親より幼児の監護を委託された保育園の被用者の過失が事故の発生に寄与しているとしても、裁判所は、その者の過失を考慮して過失相殺による賠償額の減額をすることができない。
  1. 1 ア ウ
  2. 2 ア エ
  3. 3 イ エ
  4. 4 イ オ
  5. 5 ウ オ

正答 4(配点 2)

参考

正解は4(正しいものはイ・オ)。イ:使用者が使用者責任に基づく賠償をした場合の被用者に対する求償権は、損害の公平な分担の見地から信義則上相当と認められる限度に制限されることがあるから(最判昭和51年7月8日)正しい。オ:被害者側の過失として過失相殺の対象となるのは被害者と身分上・生活関係上一体をなす者の過失に限られ、保育園の被用者の過失はこれに当たらないから、これを考慮して減額することはできず正しい。アは外形上事業の範囲内の行為につき使用者責任を免れるには相手方の悪意又は重過失を要する点、ウは工作物責任で所有者が責任を負うのは占有者が免責される場合である点(民法717条)、エはプライバシー侵害に謝罪広告(民法723条)を命じ得ない点で、いずれも誤り。

自作の解説(民法の不法行為に関する規定と判例に基づく)

関連条文

関連判例

出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[民法]第31問/民法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html