司法試験 短答式 2024 民法 第4問
代理に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
- ア AがBに対しCに代理権を与えた旨を表示した場合に、代理権授与の表示による表見代理が成立するためには、Cに代理権が与えられていると信じ、かつ、そのように信じたことについて過失がないことをBが主張立証しなければならない。
- イ AがA所有の土地をBに売却し、その所有権移転登記手続をCに委任し、その代理権を与えた場合において、CがDとの間で権限外の行為をした。Cに当該行為についての権限があるとDが信ずべき正当な理由があるときは、Aは、Dに対して当該行為についての責任を負う。
- ウ AからA所有の甲土地に抵当権を設定する代理権を与えられていたBが、Aに無断で、Aの代理人としてCに甲土地を売却し、Cは、甲土地を更にDに売却した。Bに甲土地の売却についての権限があったとDが信ずべき正当な理由があるときは、CがBにその権限がないことを知っていたときであっても、Aは、Dに対して当該行為についての責任を負う。
- エ 無権代理人の責任の要件と表見代理の要件が共に存在する場合において、相手方が無権代理人に対し履行又は損害賠償を求めたときは、無権代理人は、表見代理が成立することを主張して無権代理人の責任を免れることができない。
- オ 代理人が第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなされる。
- 1 ア ウ
- 2 ア オ
- 3 イ ウ
- 4 イ エ
- 5 エ オ
正答 1(配点 2)
参考
正解は1(誤りはア・ウ)。ア:代理権授与の表示による表見代理では、相手方が善意無過失であることまでを相手方が主張立証する必要はなく、本人が相手方の悪意又は過失を主張立証すべきであるから、相手方が主張立証しなければならないとするのは誤り。ウ:権限外の行為の表見代理は代理行為の直接の相手方について正当な理由が必要であり、その相手方が権限のないことを知っていたときは表見代理は成立しないから、その後の転得者に正当な理由があっても本人が責任を負うとするのは誤り。イは権限外の行為の表見代理(民法110条)、エは表見代理と無権代理人の責任の関係(民法117条)、オは代理権の濫用(民法107条)で、いずれも正しい。
自作の解説(民法の表見代理・無権代理に関する規定と判例に基づく)
関連条文
出典 法務省 令和6年司法試験 短答式試験 問題集[民法]第4問/民法の正解及び配点 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00241.html