2003 年、東京大学の理科の第 6 問です。問題文は 1 行しかありません。「円周率が より大きいことを証明せよ。」
円周率は、円周の長さを直径で割ったものです。半径 の円なら、周の長さは と書けます。
という値は知っていますが、それを持ち出しても答えにはなりません。 が正しいことを、まだ何も示していないからです。
道は 1 つです。円周より短いと言い切れる長さを見つけ、それを計算してしまうことです。円周はそれより長いのですから、 を下から押さえたことになります。
円に内接する多角形を考えます。頂点はすべて円周の上にあり、辺はその 2 点を結ぶ線分です。
2 点を結ぶ最短の道は線分ですから、弦は、両端を同じくする弧より短くなります。どの辺についても同じことが言えます。
辺をすべて足せば、内接する多角形の周は円周より短い、と言えます。探していた「円周より短いと言い切れる長さ」がこれです。
あとは、周の長さを実際に計算できる多角形を選ぶだけです。正多角形なら、一辺の長さが三角比で出ます。
まず正六角形で試します。中心角は です。
中心と隣り合う 2 頂点でできる三角形は、2 辺が半径で頂角が ですから、正三角形になります。だから一辺は半径そのもの、 です。
周は です。円周のほうが長いので 、両辺を で割って となります。
どまりで、 には届きません。辺を増やせば多角形は円に近づき、周は長くなります。そこで辺の数を 2 倍にします。
正十二角形の中心角は です。
中心と隣り合う 2 頂点でできる三角形は、等しい 2 辺が 、頂角が の二等辺三角形です。頂点から底辺へ垂線を下ろすと、頂角は半分の に分かれます。
底辺の半分が ですから、一辺は です。
は ですから、 と出ます。
辺は 12 本ありますから、周は です。
を入れると、周は になります。
円周のほうが長いので 、両辺を で割って です。
残っているのは、この右辺が より大きいことを、数値で示すことだけです。
と を、それぞれ都合のよい向きに評価します。差を下から押さえたいので、 は下から、 は上からです。
ですから です。 ですから です。
よって となり、 が出ます。
ですから、円周率は より大きい、が示せました。