「ご教示ください」と「ご教授ください」はどちらも「教えてください」という意味です。どちらも話し言葉としてはほとんど使われず、書き言葉として使われます。「ご教示ください」はビジネスの場面(特にメール)で用います。
違い
「ご教示ください」は一般的に使われますが、「ご教授ください」はめったに使われず、誤用と考えている人もいます。
教示 … 一般的なことを教える
教授 … 学問などを教える
教授という言葉があるように、教授は学問的なことを教えるというおおげさな印象があります。仕事では教示のほうがふさわしいといえます。
使い方
「ご教示」はしばしば「ください」「いただく」を下にくっつけて使います。
~をご教示くださると幸いです。
~をご教示いただけると幸いです。
~のご教示をお願いいたします。
「どう使えばいいのかな?」と思ったら「ご提示」という言葉を考えるといいでしょう。会員証などを作るときに
「身分証明書のご提示をお願いします」
と聞かれますが、その店員さんの言葉を「ご提示」から「ご提示」にすればビジネス文になります。
証明書のご提示をお願いします
↓
~のご教示をお願いします
証明書をご提示いただいてもよろしいですか
↓
~をご教示いただいてもよろしいですか
「ご教示のほど」は使うか?
もし店員さんに「身分証明書のご提示のほどお願いします」と言われたら違和感があると思います。同じように
~をご教示のほどお願いいたします
も、ややしつこい印象があるかもしれない。「~のほど」という言いまわしにはアレルギーを持っている人も多くいるでしょう。
「教示する」「教授する」という言葉は使うか?
「ご教示ください」という言葉がある一方、「教示する」という言葉は(辞書的・文法的に存在するものの)ほとんど使われません。「教授する」も同様です。
また「教示してください」という言いまわしも一般的ではない。これは「ご教示ください」が「ご」+「教示」+「ください」というつくりで、教示が名詞として使われているためであり
使い方を教示してあげよう
教示してくれませんか?
それを教示しようと
といった日本語はわざと面白おかしくしている印象があります。書き言葉であればおかしくないかもしれない。
一方、「教授する」は教授が生徒に教える場面を想像させるせいか
学者が生徒に知識を教授した
といった文章は書き言葉として成立します。もちろん話し言葉としてはおかしい。